「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、日本でも人気のリフターから、過去の商用車などを振りかえってみたい。(タイトル画像は、上が1970年代の204をベースにしたパネルバン、下がリフター)

多用途大衆車をつくってこなかったプジョー

画像: これは1970年代の204をベースにしたパネルバン。あくまでセダン型乗用車をベースにした商用車だった。

これは1970年代の204をベースにしたパネルバン。あくまでセダン型乗用車をベースにした商用車だった。

リフターは、その兄弟車であり商用車でもあるパルトネールの初代モデルから数えると、3代目にあたる。パルトネール/リフターを語る際に、まず言及されるのがシトロエン版の姉妹車ベルランゴで、そちらのほうが元祖的存在である。

もっとも、ベルランゴを語るとき必ず引き合いに出されるのがルノーのカングーであり、早くから日本に導入されておなじみの存在である。しかもカングーはルーツをたどるとルノー4のフルゴネット(小型貨物)にさかのぼり、さらにその先駆者はベルランゴのルーツである2CVのフルゴネットである。

プジョーには、この系統のモデルが過去にはなかった。2CVやルノー4のような、フランス特有の農家の生活で重宝されるような多用途大衆車をプジョーはあまり開発してこなかった。そもそもプジョーは、伝統的に商用車の存在感があまりない印象がある。

もちろん過去にはトラックを戦争中につくったり、戦後は早くから前輪駆動のキャブオーバー車をつくったりしてはいるのだが、印象が薄い。プジョーには乗用車のワゴンボディを流用したバンタイプの商用車はあったが、それはどの自動車メーカーでもやっていた。

プジョーは、どこかブルジョア的なイメージがある。たとえば、戦後に中級モデルに特化していた頃は保守的だが高品質で、中産階級御用達のクルマなどと言われた。ドイツのメルセデスほどの高級志向ではないが、これに近い感じがあり、そう例えられることもあった。ちなみにフランス語の「ブルジョワ(Bourgeois)」という言葉は広義で「都市住民」のことであり、まあ言ってみればシティ派なのである。

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