今回はウエット路面=低ミュー路でのハイスピードドライビングテクニックを解説しよう。

ウエット路面を制するものがもっとも上手いドライバーとも

まずテクニックの前に行っておきたい準備がある。視界の確保だ。

フロントガラスの汚れの拭き取りは大前提として、まずワイパーブレードを良い状態にしておくこと。ゴムが硬くなったり、端が切れていたら交換する。これはサーキットなどで雨が降ってきたからというようなものではないので、普段からのチェックが大事だ。もちろん、フロントガラスに撥水剤を塗布するのもいいだろう。これはサイドウインドーやサイドミラーにも有効だ。

もうひとつは車内のくもり止め。一般走行ではエアコンを使用していればくもることはないが、ハイスピードドライビングではパワーロスを伴うエアコンは原則使わない。走行中に汗をかき、蒸してくれば車内のくもり止めは必須。これも市販のケミカル剤で行うことになる。ただし、エアコンが付いているクルマの場合はパワーロスとドライビングの快適さを天秤にかけ、後者を優先させた方が現実的な場合もある。臨機応変な考えも必要だ。

低ミュー路でのドライビングテクニックで気をつける点は、タイヤグリップの摩擦円を小さくしか使えないということだ。アンダーステアやオーバーステアといった挙動が低いスピード域で出やすくなる。しかも挙動が出るときはピーキーになりやすいからコントロールもしづらい。挙動を乱さないようなていねいな操作が必要だ。

画像: ウェット路面では、ちょっと雑な操作をしてもテールが出たり、フロントが逃げたりという挙動が出る。練習には最適だが、慎重さも重要だ。 youtu.be

ウェット路面では、ちょっと雑な操作をしてもテールが出たり、フロントが逃げたりという挙動が出る。練習には最適だが、慎重さも重要だ。

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まずブレーキングを見ていこう。制動距離が長くなるから、それを見越した早めの操作が必要になる。摩擦円が小さくなっているから、ブレーキロックもしやすい。フロントをロックさせてしまえば、アンダーステアによりコーナー外側のグラベルへまっすぐ行ってしまうし、リアをロックさせれば即スピンにつながる。

こうした場合、ブレーキを緩めれば理論的にグリップを回復できるわけだが、これにはタイムラグがある。そこで、かつてはブレーキを断続的に踏むポンピングブレーキが用いられたりしたが、現代のブレーキにはABSが装着されているから、これに任せた方が良い。そういう意味でウエット路面においてABSは必須の装備とも言える。

アクセルペダルのコントロール、とくにRWD(FRやMR)で旋回に入ってからラフにアクセルオンを行うと、すぐにテールがブレイクする。ここでも繊細なアクセルコントロールが求められる。同時にテールが出たときにすぐにカウンターステアリングを当てられる態勢を整えておくことも必要になる。

ちなみにRWDでは、コーナリング中にシフトアップしただけでもテールスライドで姿勢を崩すこともあるから、いずれにしても丁寧な操作がポイントだ。

画像: 4WDは雪道などの低ミュー路では圧倒的なトラクションを発揮する。ただし、制動距離という面ではアドバンテージがあるわけではないので注意が必要。

4WDは雪道などの低ミュー路では圧倒的なトラクションを発揮する。ただし、制動距離という面ではアドバンテージがあるわけではないので注意が必要。

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