48Vハイブリッドシステム搭載の「B5」は走りも楽しめる
ボルボ XC60 B5でのエコラン大会(東京都港区→福島県いわき市)では、16.9km/Lという燃費を出しながら優勝チームは19.1km/Lを記録して惨敗を喫したMotor Magazine編集部チーム。とある凡ミスが原因で残念な結果になってしまったが、それがあまりにも悔しくて、復路では自由に走って帰っても良かったところを、再度エコランにトライ。その執念が実り20km /Lを超える好燃費をたたき出すことができた。
これでB5の燃費の優秀性を確認できたわけだが、この時、肝心の走りについてはお伝えしていなかった。そこで、エコラン大会後に思う存分XC60 B5で走ってみたときの印象を報告したい。
まずはB5のおさらいから。B5は新世代パワートレーンDrive-E (ドライブイー)の 第3世代となる2L直4ガソリンターボエンジンに、ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)を搭載したマイルドハイブリッドシステムを組み合わせている。
ISGMは回生ブレーキで発電した電力を48Vリチウムイオンバッテリーに蓄電し、エンジンの始動や動力補助を行うほか、アイドリングストップ後の再始動時におけるノイズやバイブレーションの大幅な低減を実現するなど、質感の面でも貢献している。また、エンジン本体にも大幅な改良が施され、気筒休止機構の採用もあいまって、より上質感のある走行性能と実用域での燃費を向上を実現する。
では、そんなパワーユニットを搭載したXC60 B5の走りはどうなのか? エコラン大会が終わった後に思う存分走らせてみた。
2Lターボエンジンは最高出力250ps/最大トルク350Nmを発生するということで、実はこれだけでも十分パワフル。これにISGMのモーターによる13ps/40Nmが低回転域からプラスされるので、ターボラグを感じさせることなく気持ちのいい加速感を味わわせてくれる。
ボルボ XC60にはB5以外に、よりハイパフォーマンスなパワートレーンを搭載したふたつのモデル、「B6」と「T8」を用意する。
B6は、2L直4ガソリンターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーター(エンジン300ps/420Nm+モーター13ps/40Nm)」を発生。T8はプラグインハイブリッドで、2L直4ガソリンターボ+スーパーチャージャー+前後電気モーター(エンジン318ps/400Nm+モーター前46ps/160Nm・後88ps/後240Nm)」というラインナップがある。数字を見てもわかるとおりハイパワーであるが、B5でも街乗りから高速道路まで十分満足のできる性能を発揮してくれる、というのが筆者の印象だ。
このB5、アイドリングからの再始動がとても静かなこと、そして停止状態からの加速時にも振動が少なくとても滑らかに回ってくれることも好印象だ。さらに一定走行時の気筒休止機構が働くときにも、とくにそれを意識させるということはなく、とても自然な感じだったことをお伝えしておこう。
そして特筆しておきたいのは、その乗り心地の良さだ。これはエコラン大会の時から感じていたのだが、荒れた路面でも不快な振動を乗員に伝えてくることはなく、快適に移動時間を楽しむことができる。それでいながら、コーナリング性能も素晴らしいものを持っており。コーナーへの進入時のロール変化がとても自然で、そこから攻め込んでいっても安心感が高い。つまりワインディング路を攻めても楽しいSUVに仕上がっている。
燃費良し、走り良し、乗り心地良しとバランスに優れたXC60 B5。豪華な内装と19インチタイヤ&アルミホイールをおごる試乗車のインスクリプションも良いが、これより100万円安いモメンタムがお買い得感があって筆者のオススメだ。(文:Motor Magazine編集部 加藤英昭/写真:永元秀和)
ボルボ XC60 B5 AWDインスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1900×1660mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1890kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●排気量:1968cc
●最高出力:184kW(250ps)/5400-5700rpm
●最大トルク:350Nm/1800-4800rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・71L
●WLTCモード燃費:12.3km/L
●タイヤサイズ:235/55R19
●車両価格:739万円