リーフスプリングはリジッド式のリヤサスに多く用いられた
現代のサスペンションは四輪独立懸架が当たり前。かつてはリーフスプリングや、バネ下重量の低減をするために、リジッドのままデフをボディ側に固定したド・ディオン アクスルも見られたが、近年は商用車の一部で使われているのみで乗用車では見られなくなっている。
リーフスプリングとは、板状の鋼を重ねてそれを束にした形のスプリングのことだ。現在コイルスプリングの採用が主流になっているが、昭和の時代は主にスポーティカーのリアにも使用されていた。リアサスペンションに用いられる際は、左右のアクスル(車軸)が剛結されているものが多く、その場合のサスペンション形式をリーフ式リジッドと呼ぶ。
この場合、リーフスプリングとフレームを接続するために、一番フレームに近い側のリーフの端を丸く加工されていた。ここはスプリングアイと呼ばれる。さらに、シャックルというフレームとリーフスプリングの仲立ちをするパーツを介して連結されていた。これがないと、スプリングがたわんだときの長さの変化を吸収できないので必須のパーツだ。
リーフスプリングは、コイルスプリングにくらべて乗り心地が硬くなるデメリットはあるが、リアサスペンションを構成することを考えると、エンジンからの駆動を伝えるホーシングとフレームをリーフスプリングで固定すれば成り立ってしまうというシンプルさは魅力的だ。
サスペンションへの入力があると、重なり合ったリーフの摩擦(板間摩擦)によって衝撃が減衰される。これがショックアブソーバーの補助的な役割をするというメリットもある。反面、摩擦による異音の発生源となる場合もあり、静粛性を求められる乗用車としては現代的でないとも言える。
その他のデメリットは、コイルスプリングに比べると重く、路面への追従性も劣るので乗り心地が悪くなってしまうことだ。ただし、これも比較的最近、材質をスチールからGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製のリーフスプリングが登場したことにより解消されてきている。こうしたリーフスプリングを使用することにより、マルチリンクを成り立たせた例もあり、昭和のクルマだけでなく、令和の今でも可能性のある機構とも言える。(文:Webモーターマガジン 飯嶋洋治)