2009年、BMWのミドルサイズスポーツモデルであるZ4が7年振りとなるフルモデルチェンジを受けて登場した。大きなポイントはリトラクタブルハードトップの採用で、従来モデルはソフトトップの「ロードスター」と固定式ルーフの「クーペ」の2本立てだったが、新型はひとつにまとめられた。この方向転換はどのように受け入れられたのか。ここではスペインで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年5月号より)

メリットが多いリトラクタブルハードトップを新たに採用

さて、前置きが長くなったが、そのZ4が7年ぶりにフルモデルチェンジを受けた。ニューZ4の最大の変更点は、ルーフがキャンバスから金属製のリトラクタブルハードトップに変わったことである。

もちろん伝統的なロードスターの要素であるソフトトップが消えてしまうのは惜しいが、実は現在ドイツで販売されるオープンモデルのうち、リトラクタブルハードトップを装備している割合は59%と半数以上で、これがオープンモデルの増加を後押ししているのである。

ハードトップが好まれる理由はたくさんある。中でも高い耐候性、安全性、そして寿命の長さが選択要因となっている。マイナス要因はスタイルと重量増加くらいである。

ところがニューZ4はこの2つのネガを取り払った。まずカッコがいい。もともとキャビンの小さなロードスターゆえに、ルーフ自体をコンパクトにすることが可能だ。そのおかげでフェラーリ・カリフォルニアのようにトランクリッドが異様に盛り上がるのを防いでいる。

さらに2分割のルーフは軽量アルミ製で、このコンパクトで薄く強固なメタルルーフのおかげで、サイドウインドウは40%、そしてリアウインドウは52%拡大され、周辺視界は14%改善されたそうだ。

このルーフの変更にともなって、ボディは148mm延長され幅が9mm広がり、そして8mm低くなった。しかしホイールベースに変更はない。

一方、デザインは大きく変わっている。アメリカのBMWデザインワークスに属する女性デザイナー、ジュリアンネ・ブラシーが提案したエクステリアは、前作より完成度が高く、彫刻的で躍動感がある。とくに大きく広がったキドニーグリル、フェンダーサイドにまで回り込んだボンネット、そして6シリーズを彷彿とさせるリアエンドも、Z4が成長したことを物語っている。

そして同じく女性のナディア・アーマウトが担当したインテリアも、エクステリアに呼応して高い品質感を醸し出している。レポーターは中央の4個の空調ダイアルを見たときに、Z8を思い出した。

画像: BMWオープンスポーツの頂点に存在したZ8に相通じるインテリアのデザイン。iDriveはZ4としては初採用。8.8インチのディスプレイはフェシア中央に格納されている。

BMWオープンスポーツの頂点に存在したZ8に相通じるインテリアのデザイン。iDriveはZ4としては初採用。8.8インチのディスプレイはフェシア中央に格納されている。

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