リンカーン ナビゲーター(2011年)
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大柄でスクエアなスタイルは威風堂々。ドアを開けるとサイドステップがせり出してくる。
以前にV8を搭載したアメリカン スペシャルティを乗り比べてみたが、今回は最新のアメリカンSUV、中でもフォードの高級ブランドである「リンカーン」のSUV2台を短時間だが乗り比べ。まずは、リンカーン ナビゲーターから。
フォードの正規インポーター(編集部註:2011年当時)であるフォード・ジャパン・リミテッドが2008年からリンカーン車の輸入も開始した。その第1弾として導入されたのが、フルサイズのアメリカン ラグジュアリーSUVを代表する1台、「ナビゲーター」だ。アメリカ本国では、2006年に現行モデルとなる3代目がデビューしている。
メッキを多用した格子状のグリルを持ったフロントマスクは、いかにもアメリカン ラグジュアリー!といった感じで、押し出し感が強い。全長は5.3m近く、全幅も2m以上と、日本の街中では持て余しそうなサイズを気にしながら、まずはドアを開けて乗り込もうとすると、自動的にサイドステップがせり出してきた。これは、「パワーランニングボード」と呼ばれる、ナビゲーターの特徴的な装備のひとつだ。
たっぷりとしたサイズで、しかもスクエアなボディがもたらす室内空間は広大だ。シートは2-3-3の3列で乗車定員は8名。SUVの3列シートというと3列目は子どもしか座れない・・・と思われがちだが、ナビゲーターは3列目まで広々としており、おとな3人乗車でも苦にならないだろう。
上質なレザーやウッドパネルが与えられたインテリアの高級感は、さすがリンカーン、申し分ないレベルにある。重厚な雰囲気がかもし出され、クラシカルで上品なデザインのメーターも印象的だ。
さすがに車両重量は2.7トンを超える巨体だが、314psと495Nmを発生する5.4LのV8 SOHCは低速からトルクがたっぷりで、この巨体をこともなく引っ張っていく。フルフレームのシャシは、路面からの入力を上手に受け止めてキャビンに伝えることはない。乗り心地はきわめて快適だ。
サイズを考えれば、同クラスのヨーロッパ製SUVよりは車両価格はリーズナブルだ。予算と置き場所に問題がなければ、一度は所有してみたくなる1台だった。
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インテリアは上質なレザーやウッドパネルがが与えられて重厚感をかもし出している。