ポルシェの電気自動車(BEV)であるタイカンに、ユーティリティ性の向上というプラスαの魅力を加えたのが「タイカン クロスツーリスモ」である。車高調整機能や専用のグラベルモードの採用などで、積極的にアウトドアへ出かけたくなるBEVである。(Motor Magazine2021年10月号より)

使い勝手の幅も広がり、タイカンの魅力が増した

見るほどに魅力的なそのフォルムのおかげで得られたのが広大なラゲッジコンパートメントで、その容量は後席使用時でも446Lを確保し、後席バックレストを折りたためば1212Lにまで拡大する。電動式テールゲートを開くと大きな開口部の向こうにはフラットで左右側壁もオウトツのない、使いやすそうなスペースが広がる。

ロングルーフとされてはいるものの、フライラインと呼ばれるなだらかなアーチを描くルーフ形状を踏襲しているだけに、決して容量自慢というわけではない。それでもロードバイクのような嵩張るものも余裕で積み込むことができるのは、やはり嬉しい。もちろん、タイカンセダンと同じくフロントにも84Lのスペースが用意され、広さや使い勝手の幅は、相当広がったと言っていい。

画像: 様々なライフスタイルで活躍できるのがクロスツーリスモの魅力。タイカンで唯一、グラベルモードも装備するのでオフロードでもポルシェらしい走りが味わえる。

様々なライフスタイルで活躍できるのがクロスツーリスモの魅力。タイカンで唯一、グラベルモードも装備するのでオフロードでもポルシェらしい走りが味わえる。

その独特なフォルムは、後席スペースにも恩恵をもたらしている。前席を自分のポジションに合わせた状態で座ると、試乗車はオプションのパノラマルーフ付きにもかかわらず頭上には十分な余裕があって、そのガラスルーフが取り込む陽光の明るさも相まって、まるで窮屈感はなかった。

同様にオプションの4+1シートにより、試乗車の後席は3人掛けとなっていた。中央席は座面の広さも足元の余裕もあくまで緊急用ではあるが、それでも必要な時に十分実用になりそうなのは、この空間の余裕のおかげだろう。

改めて前席へ。ドライバーズシートに腰を下ろせば、目の前に広がる景色はまさにタイカンそのものだ。昂ぶる気分を落ち着かせつつ、いよいよ路上に出る。

なんて乗り心地がいいんだろう・・・というのが走りの第一印象である。路面からの当たりがタイカンセダンよりも柔らかく、サスペンションの動きもしなやかさが増している。しかも、よく見たら走行モードが「SPORT」の状態でそんな印象だったのだから驚いた。「NORMAL」に切り替えるとサスペンションはさらにストローク感が増して、乗り心地は極上と言っていいほどの境地に。思わず笑みがこぼれてしまう。

画像: 走行モードにグラベルモードが用意されるほかに、インテリアでタイカンとの違いは見られない。

走行モードにグラベルモードが用意されるほかに、インテリアでタイカンとの違いは見られない。

タイカン クロスツーリスモは全車にアダプティブエアサスペンションが標準装備とされ、しかもタイカンセダンよりも標準で車高が高くなる。さらにオフロードパッケージ付きの試乗車はさらに高い設定だ。そんなスペックの違いが快適性の高さとしてしっかり反映されているわけだ。

車両重量は2280kg。同じ前後2モーターのタイカン4Sに対して約40kgしか増えていないから、最高出力380psでもまったく不足を感じることはない。電気モーターならではのピックアップの良さ、力強いトルク、そして何と言っても静かで滑らかな加速感は、街中でも高速巡航でも余裕の走りを可能にしてくれる。

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