「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、シボレー トラバースとキャデラック SRXクロスオーバー、GMグループの中から2台のクロスオーバーSUVを乗り比べてみた。

キャデラック SRXクロスオーバー(2011年)

画像: 先代より小型化されたとはいえ、そう軽くない車体だが、キャデラックらしくフットワークはいたって軽快だった。

先代より小型化されたとはいえ、そう軽くない車体だが、キャデラックらしくフットワークはいたって軽快だった。

アメリカ本国では2009年に発売され、日本では昨年(編集部註:2010年)末から発売された、2代目キャデラック SRX。サブネームに「クロスオーバー」が付けられ、クルマとしての素性も大きく変わった。GMで「アーキテクチャー」と呼ぶプラットフォームが、従来のFRベースの「シグマ」からFFベースの「シータ」となった。サイズも少しコンパクト化されて、3列シート車の設定がなくなり、2列5人乗りのみとなった。

エンジンもV8がフェードアウトしてV6に統一され、しかも排気量が3.6Lから3Lに縮小された。おまけに?車両価格もエントリーグレードの「ラグジュアリー(549万円)」なら従来型より100万円以上もプライスダウン! この背景から、キャデラックを世界的ブランドと位置づけてより積極的に展開していこうというGMの意図がうかがえる。

新型SRXで、まず印象的なのは何よりもビジュアルだろう。内外装には数年前からキャデラックのアイデンティティとなっている5角形のモチーフと、各部のエッジを強く立てた、他にはないデザインを多用している。SUVなのに、Cピラーがクーペのように寝かされているのも特徴といえるだろう。

インテリアも、キャデラックらしい豪華さに新世代デザインをフィーチャーしており、なかなか好感の持てるものだ。ラゲッジルームでは、U字型のレールと伸び縮みするアームにより、パーテーションの状態を自由自在に変えられる「カーゴマネージメントシステム」のような独自のアイデアを盛り込んで、使い勝手を高めている点にも注目しておきたい。

そして走りもいたって現代的だ。ドイツ車にひけをとらない正確性のあるハンドリングと、小型化されたとはいえそう軽くはない車体ながら、いたって軽快なフットワークを身に着けている。つまり、キャデラックらしさはまったく損なわれていないのだ。セダン系のCTSもそうだったが、大胆に若返りを図っているキャデラックは、このところ魅力的なクルマを続々と世に送り出していて興味深い。今後のキャデラックは、さらに注目を集めていくに違いない。

画像: 「アート&サイエンス」のデザイン フィロソフィでまとめられたスタイリングは、CTSにも似た雰囲気だ。

「アート&サイエンス」のデザイン フィロソフィでまとめられたスタイリングは、CTSにも似た雰囲気だ。

■シボレー トラバース LT ビラボン エディション 主要諸元

●全長×全幅×全高:5220×1990×1790mm
●ホイールベース:3019mm
●車両重量:2280kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:3564cc
●最高出力:210kW<285ps>/6300rpm
●最大トルク:361Nm<36.8kgm>/3600rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤ:255/55R20
●当時の車両価格(税込):610万円

■キャデラック SRXクロスオーバー プレミアム 主要諸元

●全長×全幅×全高:4855×1910×1690mm
●ホイールベース:2810mm
●車両重量:2080kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:2997cc
●最高出力:210kW<285ps>/6300rpm
●最大トルク:361Nm<36.8kgm>/3600rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●JC08モード燃費:6.7km/L
●タイヤ:P235/55R20
●当時の車両価格(税込):599万円

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