「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回はクライスラーグループから、ダッジ ナイトロとジープ グランドチェロキーというSUV2台を乗り比べてみた。

ジープ グランドチェロキー(2011年)

画像: メルセデス Mクラスとコンポーネンツを多く共用するだけあって、走りっぷりは紳士的に洗練されていた。

メルセデス Mクラスとコンポーネンツを多く共用するだけあって、走りっぷりは紳士的に洗練されていた。

続いて、いまやジープのフラッグシップモデルとなったグランドチェロキー。日本仕様が発表されたばかりの4代目となる新型はますます洗練され、紳士的になった。その姿は、まさにジープ 一族のフラッグシップにふさわしい威厳を持つ。

ボディサイズはそれほど拡大した印象は受けないが、キャビンでは後席のレッグスペースが約10cm広がり、ラゲッジスペースも11%ほど拡大している。ボディには高張力剛板を61%使用したことで、ねじれ剛性は145%もアップしているという。4WDシステムは、もちろん本格的なクォドラトラックIIで、アプローチアングルなどの確保も不足はない。また、セレクテレインというトラクションコントロールでは、12のシステムを制御して5種類の走行モードを自在にする。

そして心臓部に収まるパワートレーンは、3.6LのV6エンジンと5速ATの組み合わせだ。今回、一般道と高速道路のみで試乗したかぎりでは、とにかくガッチリとした乗り味が強く印象に残った。ギャップではドンッと素直に入力を伝える代わりに、コーナーや高速の追い越し中などでは路面にグッと踏ん張る感覚が頼もしい。なめらかなステアリングフィール、ガサツさのかけらもないエンジン音は、本当に紳士的だ。ドライビングポジションは深くすっぽりと収まる感覚で、安心感に包まれている。

新型グランドチェロキーは、クライスラーがダイムラーと合併していた時期に開発をスタートした関係で、プラットフォームをはじめとしたコンポーネンツのおよそ30%をメルセデス・ベンツ Mクラスと共用している。ボディやエンジン、そして走りっぷりも紳士的なのは、その影響が大きいのは間違いない。

それでも、ワンタッチでリアシートが格納できてラゲッジスペースを拡大できたり、取り外し可能な床下収納ボックスも完備するなど、使い勝手は高められている。走りは洗練されたが、こういうところにはアメリカンな大らかさや合理性が息づいているのがわかる。やはり、グランドチェロキーは「ジープ」なのだ。

画像: アイポイントの高いコクピットが特徴的。ヒーター内蔵ステアリング、カーナビなどを標準装備する。

アイポイントの高いコクピットが特徴的。ヒーター内蔵ステアリング、カーナビなどを標準装備する。

■ダッジ ナイトロ SXT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4580×1860×1785mm
●ホイールベース:2765mm
●車両重量:1890kg
●エンジン種類:V6 SOHC
●排気量:3700cc
●最高出力:151kW<205ps>/5200rpm
●最大トルク:314Nm<32.0kgm>/4200rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●JC08モード燃費:7.3km/L
●タイヤ:235/65R17
●当時の車両価格(税込):298万円

■ジープ グランドチェロキー リミテッド(エアサス仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4825×1935×1770mm
●ホイールベース:2915mm
●車両重量:2200kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:3604cc
●最高出力:210kW<286ps>/6350rpm
●最大トルク:347Nm<35.4kgm>/4300rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●JC08モード燃費:7.7km/L
●タイヤ:265/60R18
●当時の車両価格(税込):523万円

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