「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は試乗はしていないが、最新で最強のモデルである508PSEを眺めながら、プジョーのモータースポーツ活動を振りかえってみたい。(タイトル画像は、上が308GTi by プジョースポール、下が508PSE)

プジョーの本格的なモータースポーツ活動はWRC制覇から

プジョーが本格的にモータースポーツに参画するようになったのは、1981年に今のプジョースポールの前身、プジョー・タルボ・スポールを設立してからである。プジョーは当時開発中だった新型車205のイメージを借りて、まったくの専用シャシを持つ205ターボ16(T16)を製作し、WRC(世界ラリー選手権)への挑戦を開始した。

画像: グループBマシンの205ターボ16。略して205T16。1985、1986年にWRC王座を獲得した。

グループBマシンの205ターボ16。略して205T16。1985、1986年にWRC王座を獲得した。

4WD、ミッドシップ、ターボという、当時のラリー界の新しい技術をすべて合わせ持つ、まさに最強のパッケージをものにした205T16は、ジャン・トッドという優れたディレクターのもとで、見事1985、1986年と連続でチャンピオンを獲得する。ちなみに、タルボとは当時プジョー傘下にあったメーカー名で、トッドはそのころタルボのワークスチームでナビゲーターとしてWRCチャンピオン獲得に貢献しており、その系譜を継いだことを示していた。

1986年いっぱいで行われたレギュレーション変更により205T16がWRCに参戦できなくなると、今度はそのマシンをパリ〜ダカールラリー参戦車両に転用してまたも王座を獲得、しかも3年連続だった。途中からマシンのデザインを変えて405T16を名乗っていたが、405T16はアメリカのヒルクライムレースであるパイクスピークにも挑戦し、優勝した。

一方で、ラリーのあとはスポーツカーレースへと主戦場を変え、905で見事成功。ただその後F1へ進むも、そこでは挫折し、再びWRCへと舞い戻る。206WRCを新たに開発し、2000年代初頭にこれで連続チャンピオンを獲得することになる。

画像: ダカール ラリーで2016年から3連覇した3008DKR。

ダカール ラリーで2016年から3連覇した3008DKR。

プジョーはその後スポーツカーレースの舞台に戻り、908で再び成功を収める。

それから、かつてのラリーカー205T16を彷彿とさせる、208T16を名乗るマシンでパイクスピークに挑戦。ここはかつて未舗装路だったが、この時代にほとんど舗装されており、208T16にはスポーツカーレースで培った技術を活かされたわけだ。そのあともダカール ラリーで再び勝利を収めたほか、世界ラリークロス選手権でも208WRXによって王座を獲得しており、ラリー的なイベントで変わらずに活躍している。

そして最も新しい活動が、スポーツカーレースの9X8というわけである。

一般ユーザー向けの、プジョースポールの名を冠したモデルは、308GTi by プジョースポールが最初だったのではないかと思う。新生プジョースポールともいうべきPSEの、今後の展開に注目したい。(文:武田 隆)

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