ワゴンマーケットへのフォルクスワーゲンの本気
定番のパサートとゴルフのヴァリアントに加え、新たにアルテオンにシューティングブレークを加えるなど、攻めの姿勢を崩していないフォルクスワーゲン。そこから見えるのは、なくなることのないステーションワゴン市場への確信であり信念だ。
それを強く感じさせられたのが新型ゴルフ ヴァリアント。従来型は5ドアハッチバックのあくまで派生車種であったが、今回は両車の距離が大きく広がった。ホイールベースが延長されたのだ。パッケージングが異なるということは、開発の工程や工数(そしてコスト)が増える。
極論すれば、ゴルフのブランド価値は継承しつつも、ハッチバックとは似て非なるクルマを新たに開発したということになるのだ。そこにフォルクワーゲンの本気が垣間見える。
一方、新たに登場したアルテオン シューティングブレークはどうか。そもそもシューティングブレークとは、流麗なスタイルとほどほどの実用性をミックスしたプレミアム色が強いカテゴリーだ。純然たるステーションワゴンとは呼びがたい面もあるのだが、通念的にはそのバリエーションと解釈していいだろう。
そんなニッチな市場に参入したアルテオン シューティングブレークは、すでに存在するどのモデルよりも美しく、また実用性に優れたモデルだった。そこに透けて見えるのは、アルテオンの、ひいてはフォルクスワーゲンのブランドイメージ向上の尖兵的役割だ。クーペやSUVではなく、実用性にも優れたシューティングブレークを選んだところがフォルクスワーゲンらしい。
この2車にパサートを加え、ステーションワゴン市場を牽引していくフォルクスワーゲン。ワゴンといえば、とかく日本ではその実用性に目が行きがちだが(もちろんそれは大切な要素だが)、本場欧州ではライフスタイルに根ざした普遍的な存在である。しかも、フォルクスワーゲンは多彩なパワーユニットをラインナップしており(日本未導入モデルもあるが)、欧州では多くのユーザーが嬉しい悲鳴をあげている。
5番目のトビラから見える景色、それは欧州発祥の普遍的ライフスタイルではないだろうか。
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント&オールトラック
オールトラック国内投入まであと数カ月
ゴルフブランドの美点を継承しつつ、スタイリッシュかつスポーティに生まれ変わった新型ヴァリアント。2021年末までにはヴァリアントをベースにした待望の4輪駆動クロスオーバー「オールトラック」の国内発売も開始されるはずだ。
フォルクスワーゲン パサートヴァリアント
残るはPHEVモデルの国内導入だ
2021年4月にマイナーチェンジモデルが国内発売されたパサートベースのヴァリアント。定評のあるゴルフヴァリアントを凌ぐ圧倒的な積載容量(650L/1780L)がもたらす利便性の高さが魅力。パワートレーンは1.5LのTSIと2LのTDIをラインナップする。
フォルクスワーゲン アルテオンシューティングブレーク
さらなる先に控える究極のアルテオン
新たなフラッグシップモデルとして投入されたファストバックモデルがアルテオン。そのラインナップを強化すべくマイナーチェンジ(2021年7月国内導入)を機に新たに発売されたのが、ワゴンのデザインと利便性を採り入れたシューティングブレークだ。(文:Motor Magazine編集部 阪本 透/写真:小平 寛、フォルクスワーゲンAG)