「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フィアット 500 ツインエアだ。

コツさえつかめば、その走りはなかなか楽しい

画像: 2気筒875ccにターボを装着。アイドリングストップ機能も備え、10・15モード燃費で21.2km/L(ラウンジ)を達成。

2気筒875ccにターボを装着。アイドリングストップ機能も備え、10・15モード燃費で21.2km/L(ラウンジ)を達成。

さて、2気筒エンジンによる走りは、いったいどんなものなのだろうか? やはり気になるのは振動だ。振動を抑えるための逆回転バランサーシャフトなども盛り込まれているが、ヴィッツの3気筒 1Lや軽自動車の3気筒 660cc+ターボと比べても、かなり振動は大きいのは否めない。音も、静かとは言いがたいというのが正直なところだ。

また、CVTに慣れてしまった人たちがこのクルマを快適に走らせるには、ちょっとしたコツがいる。それはAMTのデュアロジックで、MTでシフトするように変速のタイミングで少しだけペダルを緩めるようなアクセルワークをすれば滑らかに変速してくれる。だがATモードに入れて、ただアクセルを踏んで走っていると、やはり変速時のショックが気になってしまう。

さらにアイドリングストップの再始動も、コンマ何秒というレベルだが若干遅く感じる。ヒルホールド制御が入っているとは言うのだが、急な坂道発進ではブレーキペダルから足を離してエンジンが再始動するまでに、クルマが少し下がってしまうこともある。このあたりは、それなりの割り切りが必要だ。

と、なんだかダメ出しばかりしてしまったようだが、元気の良さはさすがラテンのクルマらしさを感じさせてくれる。出力を抑えたエコモードに入れても、パワフル感にあまり変化がないと思えるのは、低回転域でマックスに達するトルクの太さの恩恵だろう。例えば、スズキが16年ぶりに開発した最新エンジンを搭載したMRワゴンでも、最大トルクの9.7kgmに達するのは3000rpmなのに、このツインエアは2000rpmで10.4kgmに到達する。

フィアット500 ツインエアは、MT感覚で上手に乗りこなせば、小さいからこその小気味良さを存分に味わえるだろう。まさに、ちょっと通好みな1台といえるかもしれない。

画像: 900ccに満たないエンジンとは思えないほど低速トルクはあり、いかにもラテンのクルマらしい走りっぷりを見せる。

900ccに満たないエンジンとは思えないほど低速トルクはあり、いかにもラテンのクルマらしい走りっぷりを見せる。

■フィアット500 ツインエア ラウンジ 主要諸元

●全長×全幅×全高:3545×1625×1515mm
●ホイールベース:2300mm
●車両重量:1040kg
●エンジン種類:直2 DOHCターボ
●排気量:875cc
●最高出力:63kW<85ps>/5500rpm
●最大トルク:145Nm<14.8kgm>/1900rpm(ノーマルモード)
●トランスミッション:5速AMT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:21.2km/L
●タイヤ:185/55R15
●当時の車両価格:245万円(税込)

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