ボディ表面にサビが浮き出てくると内側は相当ひどい状態かも!?
オープンカーはその構造上、雨水の影響を受けがち。とくに初代ロードスターは、「サイドシル」と呼ばれる部位が致命的だ。これは雨水の通り道なのだが、この穴が詰まってしまうと、ここに水がたまってしまうのだ。素材は鉄、サビが発生するのは必至だろう。
知り合いのNAロードスターを借りて乗っていたところ、赤信号で停止した際に、チャポンと水音がした。なんとサイドシルに水がたっぷりと溜まっていた音だったのだ。案の定、水抜き穴には砂やら落ち葉などがびっちりと詰まっていた。ドライバーでほじったところ、大量の水が流れ出てきた。
この水抜き用の穴は詰まりやすいので、ひんぱんにメンテナンスしていないと、気付いたらサイドシルにサビが発生していた、なんて話はよくあるのだ。
もちろんボディの一部だから、簡単に交換できるわけではない。補修するにはサイドシルのパネルを切り貼りするしかないのだ。そこで今回は、ガレージベリーの補修用サイドシルパネルを使い、羽鳥板金に補修をお願いした。
実際に作業したNAは屋根付きの駐車場保管で、雨の日は極力乗らないようにしていたにも関わらず、なかなかのサビっぷり。サイドシルの内側に発生したサビは広範囲に広がり、ついに塗膜を破って表面化しているほど、ヤバい状態だった。
サビ付いたサイドシルは、バサっと切断するのが賢明?
しっかりサビてしまったサイドシルをカッターで切断すると、広範囲に渡ってサビが発生していた。一般的にこうした板金作業はサビた部分をカットして、別の車両から同部位を溶接して補修していたという。しかし、結局は鉄であるため同じようにサビが出てきてしまう。そこでガレージベリーは補修用パーツをFRPで製作した。しかし、鉄とFRPをつなぎ合わせるには高い技術力を要するので、たとえ補修部分が小さくても、高いスキルが必要になるのだ。
サビをできる限り落としたら、防錆コーティングを施す。電気化学的に鉄が錆びるのを防ぐためだ。次にFRPのパネルを合わせて、パネルボンドで貼り付ける。1日ほど乾燥させるのは、パネルボンドの硬度を増すためだ。あとはパテで造形し、塗装すれば作業は終了。
正直、どこを補修したのか、わからないほど完成度の高い仕上がりで驚いた。ロードスターにとって水との戦いは、永遠のテーマといっても過言ではない。長く乗り続けるなら、やはりこれくらいしっかり補修をしておきたいものだ。
発売から30年以上経過しているモデルだけに、経年劣化は否めない。しかし、交換部品や高度な補修技術のおかげで現役を続行できる。初代ロードスターが高い残存率を誇るのも、こうした背景があるからにほかならない。ロードスターは本当に幸せものである。そして乗っている人も、幸せをつねに感じている。