メルセデス好調も、予選は悪天候が予想される
衝撃的なマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の接触から2週間、新しい戦いがソチ・オートドロームで始まったが、土曜日以降天候が大きく悪化する予報があり、各チームはそれも考慮したセッティングを進めることになった。
それでも初日は穏やかな晴天。フリー走行1回目開始時点で、気温20度、路面温度25度。フリー走行1回目開始時点で、気温22度、路面温度32度というコンディションでセッションは行われた。
初日の主役はこのコースを得意とするメルセデス勢。中でもボッタスが好調で、どのコンパウンドでも安定して速く、両セッションでトップタイムをマークした。2番手がハミルトンで、その後についたのがアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー。ここまでが1分33秒台に入っている。
メルセデス勢のライバルとなるドライバーのタイムが伸びなかった要因のひとつは、土曜日以降天候が大きく悪化する予報が出ているため、それを見据えたセッティングも行っていることもあるようで、メルセデスが予想どおり好調なこともあって、シャルル・ルクレール(フェラーリ)はフリー走行1回目開始前に4基目のパワーユニットを投入、フェルスタッペンもフリー走行1回目終了後に4基目に交換、決勝レースでこのふたりは最後尾グリッドからスタートすることになった。
フェルスタッペンはイギリスGPでのクラッシュによるダメージで、今季どこかで新たなパワーユニット投入が必要となっていて、3グリッド降格ペナルティが決定していたことや天候などを考慮して、戦略的な判断でユニット交換となった。これにより、フリー走行は6番手に終わったものの、土曜日はドライコンディションでの走行ができないことが見込まれているため、貴重なデータを収集することができた。
土曜日の予選は悪天候が予想されており、好調なメルセデスにとっても不確定要素が大きく、波乱もありそうだ。なお、悪天候のため予選が行われない場合は、フリー走行2回目の結果により決勝グリッドが決められることになる。
2021年F1第15戦ロシアGPフリー走行1回目 結果
1位 77 V.ボッタス(メルセデス)1:34.427
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)1:34.638
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:34.654
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:35.117
5位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)1:35.781
6位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)1:35.794
7位 55 C.サインツ(フェラーリ)1:35.811
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)1:35.959
9位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)1:36.188
10位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)1:36.225
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16位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)1:37.794
2021年F1第15戦ロシアGP フリー走行2回目結果
1位 77 V.ボッタス(メルセデス)1:33.593
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)1:33.637
3位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)1:33.845
4位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)1:34.154
5位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)1:34.402
6位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:34.621
7位 55 C.サインツ(フェラーリ)1:34.678
8位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)1:34.762
9位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)1:34.837
10位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:34.925
11位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)1:34.938
・・・・・・・・・
18位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)1:35.954
ホンダ勢は順調に走行、フェルスタッペンは新しいパワーユニットで快走
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「金曜日はホンダのパワーユニットを搭載する4台は順調にプログラムを消化し、スムーズな一日になりました。フェルスタッペン選手については、イギリスGPのクラッシュでパワーユニットにダメージを受けた影響から、シーズン中どこかで新たなパワーユニットを投入しなくてはいけない状況でした。そのため、今回のレースでの様々な局面を考慮し、フリー走行2回目から新たなパワーユニットを投入することを、チームと一緒に決めました。日曜のレースではパワーユニット交換によるペナルティのために、グリッド後方からのスタートになります。明日土曜日は降雨が予想されていますので、色々な状況を想定して迅速に対応できるように、フリー走行のデータをベースに雨対応の準備もしっかり進めて臨みます」とコメント。各ドライバーは次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「ここロシアでパワーユニット交換ペナルティを受けることが適切だと考えています。すべての状況を検討した上での判断で、もちろん土曜日の天候についても考慮しました。どこかでペナルティを受けなくてはならず、ここでなくても、他のサーキットで受けざるを得ませんでした。グリッド後方からのスタートにはなりますが、レースで最大限戦えるマシンになるよう、レースウイークを通じてセットアップを進めていきます。それが上手くいって、日曜のレースでベストな状況にすることができればと思います。今は、土曜日の天候がどうなるか様子を見ていきます」
セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
「予選に向けていいデータが得られました。明日土曜日は雨で走行時間が限られる見込みなので、予選前にドライコンディションを試せる最後のチャンスだったかもしれません。このレースウイークでは、マシンにポテンシャルがあると思うので、正しい方向に進めなければなりません。セクター1と2はいいと思いますが、セクター3についてはまだ改善の余地があります。予選でのコンディションに合わせてセットアップ変更が必要になるかもしれませんが、興味深いデータがたくさんあり、今夜分析を進めていきます。マックスが後方からのスタートになるので、チームにとっては少しチャレンジングな戦いになりますし、ここでのメルセデスの強さは明白ですが、彼らに少しでもプレッシャーをかけ、予選では僅差に迫ることができれば理想的だと思います」
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
「ソチでは、ここまで全体的なグリップに苦戦してはいますが、走行距離を伸ばすことができました。日曜のレースは晴れると思うので、ドライでの走行は貴重です。マシンのパフォーマンスがいいことは分かっているので、データを確認して、自分の改善点がどこかを見る必要があります。天候の影響がどうなるかは分からないので、フリー走行3回目と予選に向けてできる限りの準備をしていかなければなりません」
ピエール・ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)
「パフォーマンスの面ではポジティブな一日でした。マシンはこのコースでここまで上手く機能していて、レースウイークのいいスタートが切れたと思います。パフォーマンスはいいのですが、まだマシンのバランスに100%満足できていないので、いくつか確認して改善する点があります。今週末は、シャルル(ルクレール/フェラーリ)とマックスがペナルティを受けているので、僕らにとってはいいチャンスがあります。ただ、注視していくのは、自分たちのパッケージと、厳しい中団での戦いに向けて、最大限のパフォーマンスを発揮できるかです」
タイヤを供給するピレリは「コンディションは適度に涼しく、フリー走行2回目の気温は22度前後、路面温度は32度でした。ただこの週末は悪天候が予想されており、ドライバーは3つのコンパウンドすべてについて多くのデータを収集しながら、予選が中止となってフリー走行2回目の結果が決勝グリッドを決めることになることも想定して走行を重ねました。ただ、ルクレールとフェルスタッペンはパワーユニット交換によりグリッドの後ろからスタートする予定で、フリー走行では予選シミュレーションは優先事項ではありませんでした。トラックは予想通りに進化しましたが、土曜日の雨はアスファルトをリセットする可能性があります。ドライ路面での走行が多くないので、もし日曜日に路面が回復した場合はまた難しい状況となるでしょう。フリー走行2回目が残り20分で赤旗で中断となったため、コンパウンド間のパフォーマンスギャップの評価が困難になりましたが、これまでのところ、ソフトとミディアムの間は約0.8秒、ミディアムとハードの間は約0.5秒と推定しています」と分析している。
F1第15戦ロシアGPの予選は9月25日日本時間21時(現地時間15時)、決勝は9月26日日本時間21時(現地時間15時)に開始される。
2021年F1第15戦ロシアGPタイムスケジュール
フリー走行3回目:9月25日12時~13時(日本時間18時~19時)
予選::9月25日15時~16時(日本時間21時~22時)
決勝(53周):9月26日15時~(日本時間21時~)