ここ数年、堅調に販売台数を伸ばしているプジョー。その要因とはなにか? 今後のプジョーに期待するものはなにか。Motor Magazine筆者陣の大谷達也氏と竹岡圭氏、またMotor Magazine編集長 千葉知充が、新しいCIを採用して新たなステージへと向かうプジョーについて語る。(Motor Magazine2021年10月号より)

プジョーのデザイン言語の出発点は508

千葉:新たにステランティスグループになってこれまでよりもっとスケールメリットが出ると思います。ここで、もうひとつ、プジョーの魅力として、パワー・オブ・チョイスをどうみるか。いろいろなものが用意されているのはすごく魅力だと思います。

大谷:メリットを言えば、やはりひとつのボディで、需要に対してフレキシブルに対応できる。ただ通常はいろいろなパワートレーンを積めるプラットフォームは、結果、中途半端になりがちですが、それがうまくいっている。

竹岡:スタイルはこれで決めて、パワートレーンはどれにする、という決め方ができるのはすごくいい。だいたいクルマを買う時って、まずはデザインですよね。乗った感じも違和感がなく、どれに乗っても嫌な感じがまったくしない。

千葉:今、一番気になっているモデルは?

竹岡:実はリフターが気になっています。今までルノー カングー一択だけだったけど、リフターとシトロエン ベルランゴが入ってきて、注目しています。

大谷:僕は圧倒的に208ですよ。凄く良くできていて弱点がない。Bセグメントでは208はダントツですね。おしゃれだし、ADASも充実している。値段も安いし乗り心地もハンドリングもいい。208こそ完全無欠、というと少し大げさだけど、僕の中ではプジョーらしい作品だなぁと。

千葉:最近、プジョーがあきらかに変わったなと思うクルマと言えば、僕は508ですが、おふたりはいかがですか。

竹岡:先代の208から変わってきたなと思って、今の208でさらに変わったなという印象です。

大谷:最近のプジョーのデザイン言語の出発点は508ですね。新しいデザインの世界を切り開いた。さらにプジョーのディーゼルエンジンは活気があってほんとうにいいですね。それも508の魅力のひとつだと思います。

竹岡:私は508セダンには魅力を感じなかったけど、SWに乗った時、カッコいいのとディーゼルエンジンの良さで初めて508がいいと感じました。SWの方がバランスがいいと思う。

千葉:僕も本命はSWで、真横から見た時のスタイルは凄くカッコいい。ネコが獲物を捕る時の構えた姿、「今から行くぞ」みたいな。家のネコがその恰好をするたびに「あっ508SW」って思う。

竹岡:私は3008のデザインが好きで、停まっていても動いている感じがする。複雑なデザインも好きです。

千葉:3008では、プジョー初となった4WD+PHEVの3008GTハイブリッド4についてですが、フロントはエンジンで、リアにモーターを積み駆動するというシステムですね。

大谷:こういうスタイルで後ろに荷物や人が乗る可能性が多いということを考えると、後輪も駆動するというのはすごく大切なことだと感じます。

千葉:SUVシリーズとしてはちゃんと棲み分けができていて、3008と同じプラットフォームを使いながら、5008は3列シートを採用し、ディーゼルとガソリンのパワー・オブ・チョイスができている。iコックピットも含め、プジョーのデザインになっている。

大谷:3008は走りもいいですものね。こういう背の高いクルマとは思えない軽快な走りで、乗り心地もいい。

竹岡:でもFFもプジョーは頑張るんだよね。アドバンスドグリップコントロールが出たときの、試乗会で泥の中を走ったけど、結構頑張るなと感じました。でもなんで4WDがないの?とも思ったけれど。

大谷:プジョーはプロペラシャフトの通っているクルマってないじゃないですか。つまり、そういうプラットフォームにはなっていない。荷物を積めるのはフランス車の大きな魅力なので、荷室スペースを稼ぐためにリアがトーションビームだったりね。

竹岡:バカンス需要かな。

大谷:フランス人は、小さいサイズでも実用性が高くないと納得できないようです。それとプロペラシャフトを通して4WDを作るというのとは相容れないですよね。荷室も広いというより、だいたいは深くて高さがあることが多いですよね。足まわりのことと深く関係している気がしますね。

画像: 508。セイバーと呼ばれるデイタイムランニングライトで、新たなプジョーのデザインに。

508。セイバーと呼ばれるデイタイムランニングライトで、新たなプジョーのデザインに。

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