ポジションがとても取りやすいiコックピット
千葉知充(以下、千葉):ここ数年プジョーは好調で、2021年は7カ月で前年同期比168%を記録しました。その要因はどこでしょうか。また新しいCIが導入され、ステージが変わるこれからのプジョーについてお聞きしたいと思います。
大谷達也氏(以下、大谷):僕にとってはネコ足とピニンファリーナデザインというのがプジョーの魅力でしたが、207からネコ足じゃなくなってしまった。そして販売台数が下がり、同じタイミングでピニンファリーナではなくなった。1990年代、EUの始まりでグローバル化が加速し、そんな時にドイツ車を見習ってしまったと言われています。フランス車らしい魅力のあった時代、それがプジョーから失われていた時代があったけど、今はグローバルで魅力を備えたクルマに変わってきたのだと思います。
竹岡 圭氏(以下、竹岡):ネコがドッグフード食べてイヌ風になって、またキャットフードを食べるようになったのかなと(笑)。私は以前307CCを持っていましたが、屋根を閉めていればラゲッジルームに車椅子をそのまま放り込めるくらい広かった。フランス車は、おしゃれでデザインも凝っているけど、機能を犠牲にしていないと思いました。
千葉:同じプラットフォームでもプジョーは足が硬めでドイツ車に近い印象。シトロエンは昔からのフランス車、その間をDSが埋めている。グループ内で作り分けがうまく、さまざまなユーザーを3ブランドでカバーしています。
大谷:パワートレーンの進化や、ひとつひとつの熟成度が上がっている。でも僕は、それ以上にクルマとしてのまとまりが出て、クルマ全体で何を表現しようかというのが明確になってきたと思っています。3ブランドの関係がきれいに成立してトータルバランスがすごく高い。かつてフランス車に乗っていた人は、乗り心地がいいからとか、おしゃれだからという理由で、パワートレーンや質感のことをあきらめていた部分があったけど、今のプジョーは何ひとつあきらめなくていい。
竹岡:あのiコックピットは、私はすごくポジション取りやすくて、最高じゃんって思います。
大谷:全部がピタッとはまるドライビングポジションがあるんだよね。僕も208になって初めてピタッとくるポジションがあったけど、そこはもっと認識されるようになるのかもしれないね。
千葉:iコックピットが3D iコックピットに進化していて、そういうところも今のプジョーの魅力ですね。
大谷:情報の重要性によって引き立つようにしたというアイデアも素晴らしいのですが、文字とか、色合いとかグラフィックがきれいですね。インテリアの素材感とか、ダッシュボード、シートもいい。
竹岡:不満なところは、オープンカーがないくらいかな。207にも307にもあったのにね。
大谷:僕は、バリエーションは豊富だと思っています。ボディスタイルもそうだし、パワートレーンもBEV、PHEV、ガソリン、ディーゼルと揃っている。いろいろやれば価格は高くなるのが普通だけど。