「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、キア スポーテージだ。

キア スポーテージ(2011年:日本未導入)

画像: 全長は4.5mを切るコンパクトさだが、全幅は1.9m近くとかなりワイド。ヨーロッパ的なプロポーションだ。

全長は4.5mを切るコンパクトさだが、全幅は1.9m近くとかなりワイド。ヨーロッパ的なプロポーションだ。

「スポーテージ」は、昨年(編集部註:2010年)のジュネーブ モーターショーで発表された、キアのコンパクトSUVだ。この新型で3代目になる。たくましいルックスとキア車に共通の顔つきを備え、ヨーロッパや北米などでも販売される、キアの世界戦略モデルだ。

1990年代にトヨタ RAV4、ホンダ CR-Vやスバル フォレスターなどがコンパクトSUVのセグメントを定義づけた。21世紀に入って10年経ったが、全世界的にこのジャンルの人気は高まる一方だ。

しかしここ5年ほど、コンパクトSUVのマーケットで韓国車、特にキア スポーテージが欧米で高く評価され、販売台数を伸ばしている。その理由のひとつが、アウディの伝説的なチーフデザイナーだったピーター・シュレイヤー氏を2006年に招聘したことにあるだろう。しかも同時に、デザインだけでなく、性能や走り、そして質感も進歩したのが、キアの成功の秘密と言える。

今回、そんなスポーテージにオーストラリアで試乗した。オーストラリア仕様のスポーテージには2L/2.4Lのガソリンと、2.0Lのディーゼルターボがラインアップされている。今回試乗できたのは、最近登場したばかりのディーゼルターボだ。

まず気になるのは、車両価格だ。3万4990オーストラリアドル(編集部註:当時のレートで約307万円)は、けっして安いとはいえない。同クラスのRAV4より30万円ほども高い。つい最近まで韓国車は比較的安かったのだが、このプライス上昇は意外な展開といえるだろう。キアの競合力が世界的に上がってきたということだろうか。

画像: クオリティの高いインテリア。エンジンにもよるが、トランスミッションは5/6速MTと6速ATを設定している。

クオリティの高いインテリア。エンジンにもよるが、トランスミッションは5/6速MTと6速ATを設定している。

それでも、デザインは注目に値する。はっきり言って、前述したような日本のライバルSUVのどのモデルよりも、スポーテージのスタイリングは個性的でカッコいい。ボディ全体、そして細かな部分を見てもバランスよく、エッジが効いている。このあたりは、シュレイヤー氏のなせる技か。

運転席に座って、最初に気づくのがインテリアの高いクオリティだ。ひとクラス上の落ち着き感があって、本革シートもうれしい装備だ。インパネまわりなど、デザインにも高級感を漂わせているようだ。ステアリングにテレスコピック機構を備えていなかったのは、少々残念なポイントだったが。

エンジンをかけ、アクセルを踏んで走り出す。すると低中速、とくに2000rpmあたりからのトルクの太さに驚かされる。6速ATとマッチングも良く、変速ショックも少ないし、上り坂でも力強く加速してくれる。EU総合燃費は14.3km/Lとされているが、今回の試乗で市街地と高速道を走った結果、約11km/Lといったところだった。

装着していたタイヤは韓国のクムホ製で、ドライ路面でのグリップはなかなか良かった。ウエット路面で少し滑りやすくなるものの、タイヤとサスペンションのマッチングは悪くなく、ステアリングの手応えとしっかり感は、このクラスではトップレベルの十分なセッティングといえるだろう。

画像: 長めのルーフも特徴的なスタイリング。駆動方式は4WDだけでなくFFも設定されている。

長めのルーフも特徴的なスタイリング。駆動方式は4WDだけでなくFFも設定されている。

■キア スポーテージ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4440×1855×1635mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1535kg
●エンジン種類:直4 DOHCディーゼルターボ
●排気量:1995cc
●最高出力:100kW<136ps>/4000rpm
●最大トルク:319Nm<32.5kgm>/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●EU総合燃費:14.3km/L

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