「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、アストンマーティン ヴィラージュとヴァンテージSだ。(タイトル写真はヴィラージュ)

サーキット走行用モデルでもコンバーチブルを設定

画像: ヴァンテージSは、街中ではかなりハードな乗り心地は否めないが、サーキットではそのパフォーマンスを存分に楽しめる。

ヴァンテージSは、街中ではかなりハードな乗り心地は否めないが、サーキットではそのパフォーマンスを存分に楽しめる。

もう1車種のヴァンテージSは、2005年にV8エンジンを搭載して「ベイビー アストン」と呼ばれて登場したヴァンテージをベースに、主にサーキットを走って楽しむことを目的にしたモデルだ。とはいえ、クーペだけでなくコンバーチブルのヴォランテも設定されているところがアストンマーティンらしい。

7速セミATの「スポーツシフトII」はギア比をローギアード化し、サスペンションも硬められ、ブレーキも強化されている。シートはボディカラーとコーディネートされた、本格的なバケットタイプが装着されていた。もちろんパワーユニットにも手が加えられており、ベースのヴァンテージよりも最高出力は10ps、最大トルクは20Nmもアップされている。

サーキット走行が主目的とはいえナンバーのついたクルマだから、まずは街中で乗り出してみる。市街地走行のレベルでは、ヴァンテージSのステアリングはかなり重い。サスペンションは上下の突き上げも強く、乗り心地はけっこう硬い。おまけにシングルクラッチのセミATは変速時のシフトラグもあり、あまり良い印象ではなかった。

しかし、サーキットを走らせると、その印象は一変する。硬めの乗り心地も思いハンドルも気になることはなく、ホールドの良いバケットシートと強烈に効くブレーキの恩恵を受け、時間を忘れるほどに周回を重ねてしまったほどだ。これほどまでに本格的にサーキットを攻めることのできるアストンマーティンは、少なくとも市販モデルでは存在しなかったからだ。

叶うことならば、ヴィラージュ ヴォランテを普段の足として乗りまわし、休日にはヴァンテージSでサーキットへ行ってスポーツ走行を楽しむ。そんなアストンマーティン三昧の生活をしてみたい・・・などという夢を見させてくれた試乗会だった。

画像: サーキット走行に主眼を置いたヴァンテージSにさえ、オープンモデルのヴォランテを用意するのがアストンマーティンらしい。

サーキット走行に主眼を置いたヴァンテージSにさえ、オープンモデルのヴォランテを用意するのがアストンマーティンらしい。

■アストンマーティン ヴィラージュ クーペ(欧州仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4703×1904×1282mm
●ホイールベース:2740mm
●車両重量:1785kg
●エンジン種類:V12 DOHC
●排気量:5935cc
●最高出力:365kW<497ps>/6500rpm
●最大トルク:570Nm<58.1kgm>/5750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●EU総合燃費:未発表
●タイヤサイズ:前245/35R20、後295/35R20

■アストンマーティン ヴァンテージS クーペ(欧州仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4385×1904×1282mm
●ホイールベース:2600mm
●車両重量:1610kg
●エンジン種類:V8 DOHC
●排気量:4735cc
●最高出力:321kW<436ps>/7300rpm
●最大トルク:490Nm<50.0kgm>/5000rpm
●トランスミッション:7速セミAT
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●EU総合燃費:7.8km/L
●タイヤサイズ:前245/40R19、後285/35R19

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