2008年9月に開催されたパリサロンで「メルセデス・ベンツ SLR マクラーレン ロードスター 722S」が発表されて大きな注目を集めた。2002年にメルセデス・ベンツとマクラーレンのコラボレーションでデビューしたSLRには、その後「722エディション」と「ロードスター」というふたつの発展形が登場したが、このモデルはそれを組み合わせた究極のスーパーカーだった。生産台数はわずか150台、車両価格約6500万円と言われた貴重なモデルは、ごく少数のジャーナリストにのみ試乗が許された。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年7月号より)

「722エディション」と「ロードスター」の魅惑的な組み合わせ

画像: ガルウイングドアは「上へ上がる」のではなく「左右に開く」という構造。この状態で早くも迫力を感じさせる。

ガルウイングドアは「上へ上がる」のではなく「左右に開く」という構造。この状態で早くも迫力を感じさせる。

プレミアムブランドの最右翼であるメルセデス・ベンツは不思議なことに、長い間イタリアンエキゾチックカーに対抗できるようなスーパースポーツカーのセグメントに、クルマを送り込んでいなかった。確かに過去にはSSK-Lや300SLなど栄光の歴史を刻むスーパースポーツカーが存在していたが、近年はAMGの手による量産スポーツカーに終始していたのである。

ところが2002年にブランド再構築のためにマイバッハが発表され、さらにF1やDTMなどにおけるモータースポーツの成功をベースに、スーパースポーツカーへの機運が高まってきた。そして、2004年5月、F1パートナーのマクラーレンとのコラボレーションで誕生したのが「SLR」である。

全長4.7mのフルカーボンモノコックボディを持ったガルウイングクーペの重量は1768kg、626psのV8パワーで、スタートから100km/hまでは3.8秒、最高速度は334km/hにまで達した。そして価格もそれなりで、発売当初ドイツでは47万6000ユーロ(約6000万円)もした。

その後2006年に、スターリング・モスによるミレミリアの勝利を記念し、そのスタート時間を冠した「722エディション」を追加、さらにその1年後には、ほぼ計画どおり、「SLRロードスター」を登場させた。

SLRクーペは左右に跳ね上がる蝉の羽根のようなガルウイングドアが特徴的であったが、ロードスターの登場はSLRに一層華やかなフレアーを与えた。やはりスポーツカーにはロードスターが似合う。

さらに2008年9月のパリサロンでは前述した2台を組み合わせた「SLRロードスター722S」が追加され、そして今回、顧客へのデリバリーが開始されたのを機に少数のジャーナリストを対象に試乗が許されたのである。

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