パフォーマンスと燃費のバランスがいいRX450h
一方のRX450hは、RX350とともに日本でも今年2009年1月に発表されたが、発売はいわゆる「エコカー減税」が導入開始された4月から始まっている。
エクステリアはLEDのヘッドランプやフロントグリルなど、「h」専用のデザインをまとうが、他のレクサスハイブリッドモデル同様、シックにまとめているのがまずは好印象だ。
室内に入っても、通常モデルとの差は少ない。回転計がハイブリッドシステムインジケーターに代わるのが大きな違い。ナビなどの操作でマウスのように入力できる「リモートタッチ」も同様に装備される。
エンジンは3.5L V6 DOHC。排気量など、基本的な部分はRX350搭載エンジンと同じながら、ハイブリッド専用としてレクサス初のアトキンソンサイクルを採用。吸気バルブが閉じるタイミングを遅くして吸気と圧縮タイミングを遅らせることで、少ない圧縮で高い膨張比を発生させるこのメカニズムは、高い熱効率を実現。結果、RX350 AWDモデルの9.4km/Lに対し18.8km/Lと、同じガソリン量では2倍の距離を走ることができるという10・15モード燃費性能を誇る。
RX450hはこれに先代ハリアーハイブリッド同様、フロントとリアにひとつずつモーターを備え、通常はFF、アクセル全開時などには4輪を駆動するE-Fourシステムを採用している。
乗り込んでスタートボタンを押してもエンジンがかからないことには、オーナーになればすぐに慣れる。そこからアクセルペダルをグイッと踏み込めばスルスルと加速が始まるが、LSやGSのハイブリッドモデルの「モーターの、溢れるようなトルクを使っての強烈な加速感」というものとは異なり、RXはより自然な加速フィールになる。
ボディの重さを感じるわけではないが、加速Gに驚くという程でもない。パフォーマンス志向のレクサスハイブリッドに対し、今回のRXでは燃費と性能のバランスを重視したのがわかる。
ブレーキのタッチは、踏み込みの早い段階から回生が始まる感覚。ハイブリッドらしいと言えばそうだが、ここはもう少しストローク感が欲しい。
約1時間アップダウンの激しい箱根の道をいいペースで試乗したのだが、その間のドラコン上での燃費が13.0km/Lを記録したのには驚いた。我慢を強いられずともエコを実感できるのは、何だかとても優越感がある。
開放感を楽しみながらエレガントに、風とともに走るIS250Cと、エコロジーを身近に感じつつ、独自の存在感を同時に味わうことができるRX450h。2つの新モデルの登場で、レクサスのプレミアムへのアプローチはさらに多彩さを増してきている。(文:Motor Magazine編集部 /写真:赤松 孝)
レクサス IS250C バージョンL 主要諸元
●全長×全幅×全高:4635×1795×1415mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1730kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2499cc
●最高出力:158kW(215ps)/6400rpm
●最大トルク:260Nm/3800rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●10・15モード燃費:11.2km/L
●車両価格:535万円(2009年当時)
レクサス RX450h バージョンL エアサスペンション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4770×1885×1690mm
●ホイールベース:2740mm
●車両重量:2130kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3456cc
●最高出力:183kW(249ps)/6000rpm
●最大トルク:317Nm/4800rpm
●フロントモーター最高出力:123kW(167ps)
●フロントモーター最大トルク:335Nm
●リアモーター最高出力:50kW(68ps)
●リアモーター最大トルク:139Nm
●トランスミッション:無段変速(電気式)
●駆動方式:4WD
●10・15モード燃費:18.8km/L
●タイヤサイズ:235/55R19
●車両価格:650万円(2009年当時)