デビュー以来、販売台数続いているトヨタのコンパクトSUV「ヤリスクロス」。その秘密を探るべく、「ドライブグルメ」のライターでもある鈴木ケンイチ レポーターが、ヤリスクロスとヤリスを乗り比べてみた。

ヤリスクロスが売れるのは、それなりの理由があったのだ

画像: ヤリスの試乗車は、1.5L FFモデルで最上位グレードとなる「Z」。車両価格は197万1000円(税込)。

ヤリスの試乗車は、1.5L FFモデルで最上位グレードとなる「Z」。車両価格は197万1000円(税込)。

今回、試乗したヤリスクロスはハイブリッドの最上級グレード「Z」の4WD。オプションのヘッドアップディスプレイをはじめ、シートヒーターなどの快適装備も数多く装備されていた。こうした充実した装備類があれば、「これまではもっと大きなクルマに乗っていた」というダウンサイザー指向の人も満足するはず。これもヤリスクロスの大きな魅力と言えるだろう。

2台のパワートレーンは、基本は同じだがラインアップが微妙に異なる。ヤリスクロスは1.5L+モーターのハイブリッドと1.5L(CVT)の2種。一方ヤリスは、1.5L+モーターのハイブリッドと1.5L(CVT/6速MT)、そして1L(CVT)という4種を用意する。

試乗車の関係で、ヤリスクロスがハイブリッドでヤリスが1.5Lとなったが、まずハイブリッドは非常に静かでスムーズだ。高速道路を走行していると、燃費計が30km/Lを上回る瞬間があるほど。カタログではWLTCモードで4WDでも26.0km/L、FFでは最高30.8km/L。コンパクトとはいえ、SUVとしては驚異的な燃費性能だ。それでいて、システム最高出力は85kW(116ps)。速いわけではないが、日常的に使うのであれば力不足を感じることはないだろう。

また、ヤリスの1.5L 3気筒エンジンは、やや雑味のあるサウンドだったが、その音量は非常に小さく抑えられていた。最高出力は88kW(120ps)もある。燃費性能はWLTCモードで、FFが最高21.6km/L、4WDが最高19.2km/L。コンパクトカーとしては十分以上の数値だろう。

走り味という点で、2台からは異なる個性を感じた。ヤリスは、いわゆるホットハッチバック的な軽快感があったのだが、ヤリスクロスの振舞いはもう少し落ち着いたもの。また、タイヤサイズは16インチのヤリスに対して、ヤリスクロスは18インチを履く。路面の悪いところではヤリスクロスはバネ下が暴れる感がある。乗り心地を優先したい人には、16インチ装着車をおすすめしたい。

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