流麗な4ドアクーペボディを与えられたBMWの電気自動車(BEV)が「i4」だ。今回はいくつかあるグレードの中でも、トップモデルにあたるi4 M50にドイツで試乗した。日本での発売も近い、注目のBEVの実力はどれほどなのか。(Motor Magazine2021年12月号より)

2モーターの4WDだが、FRのような走りも可能

スタートして真っ先に感じたのは、先日試乗したSUVタイプのiXシリーズとはスポーティ感が異なるということだ。ハンドルをわずかに切った瞬間にノーズがその方向にクイッと向かう、低いドライビングポジションと重心がもたらす、いわゆる人馬一体感があり、クルマとドライバーが密に融合している感覚だ。

BMWのスローガン「駆けぬける歓び」が思わず頭に浮かぶ。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に湧き上がる795Nmのトルクは瞬時に4輪から路面に伝わり、2.2トンの4ドアクーペボディは水直に落下するようにスッと加速する。この加速力は短距離での追い越しを可能にするので、非常に重宝する。

ワインディングロードでは可変ステアリングギアレシオのおかげでタイトなコーナーに進入してもわずかな手首の動きでクリアできる。嬉しいのはフロントの190kW(258ps)に対してリアに230kW(313ps)とリア駆動寄りの特性を持たせた電気モーターのレイアウトである。これによりコントロール性が保たれたオーバーステアを起こすことも可能だ。また剛性がワンランクアップされ、トレッドが広がったボディレイアウトによる素晴らしいロードホールディング性も光る。

ところでi4 M50には「エコ」、「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツブースト」の4つのドライブロジックが用意されている。その中で見慣れない「スポーツブースト」はターボのオーバーブーストのように50kW(67ps)のエクストラパワーを絞り出し、アイコニックサウンドとともにスポーツ走行の楽しさを増幅してくれる。

最後の試乗セクションのアウトバーンでは、すぐに225km/hに到達、リミッターが作動する。はっきり言ってICE搭載モデルに慣れたドライバーにはあっけなく物足りないシーンだが、これは時代の流れ、環境問題を考えて納得すべきである。

ちょっと残念なのはこれだけのパフォーマンスを持ちながらエクステリアデザインは今後登場するであろう4シリーズグランクーペと(少なくとも一般の人には)ほとんど区別がつかないという点である。実際、試乗コースのゴールであるミュンヘン空港付近に到着しても振り返ってこのクルマを見る人の数はわずかだった。望むべくはi8のようなスポーツクーぺだが、これは高望みだろうか?

いや、BMWが持つフレキシブルなCLARプラットフォームであれば可能なはずである。そこはM社社長に帰任したフランク・ファン・メール氏に期待したい。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス)

画像: インパネは4シリーズと異なる、メーターパネルとインフォテインメント画面が1枚につながったデザインが目を引く。

インパネは4シリーズと異なる、メーターパネルとインフォテインメント画面が1枚につながったデザインが目を引く。

BMW i4 M50主要諸元

●全長×全幅×全高:4783×1852×1448mm
●ホイールベース:2856mm
●車両重量:2290kg(EU準拠)
●モーター:交流同期電動機×2
●前モーター最高出力:190kW(258ps)/8000-17000rpm
●前モーター最大トルク:430Nm/0-5000rpm
●後モーター最高出力:230kW(313ps)/8000-17000rpm
●後モーター最大トルク:365Nm/0-5000rpm
●システム最高出力:400kW(544ps)
●システム最大トルク:795Nm
●バッテリー総電力量:80.7kWh
●WLTPモード航続距離:416-521km
●駆動方式:電気式4WD
●タイヤサイズ:前245/45R18、後255/45R18

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