2009年、6代目ゴルフにスポーツモデル「ゴルフGTI」が登場した。効率が良くハイパフォーマンスなモデルとして、歴代ゴルフGTIは高い評価を受けてきたが、6代目ゴルフGTIはどこがどう進化していたのか。ここでは南フランス・サントロペで開催された国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年8月号より)

非の打ちどころのない完成度。だからこそ気になる7代目の行方

ゴルフボールを模したシフトレバーグリップは憧れだったが、6代目は、あの頃からは想像できないデュアルクラッチトランスミッションDSGを装備している。初代GTIがデビューした頃には、ポルシェですらまだ同じ原理を持つPDKをCカーの956や962で実用化していなかった。

画像: 6代目ゴルフGTIのインテリア。ブラッシュトステンレススチール製ペダル、アルミ調シフトレバー、Dシェイプのステアリングホイールなどは専用装備。

6代目ゴルフGTIのインテリア。ブラッシュトステンレススチール製ペダル、アルミ調シフトレバー、Dシェイプのステアリングホイールなどは専用装備。

初代GTIをスタッフに返却し、地中海が眼の前に広がるテラスに腰を下ろしひと息ついていたら、フォルクスワーゲンのエンジニアに感想を求められた。前述の内容をひととおり伝えると、彼は納得がいっているようだった。

僕が6代目GTIと初代GTIを運転して気になったのは、7代目GTIがどうなるかということだった。6代目GTIは素晴らしい。しかし、時代と状況は、あまりにも大きく変わった。今までのように、GTIはGTIらしく際立ちながら存在することができるかどうか、微妙なところだろう。

「次のGTIがどうなるかはわからないけれど、このGTIは最もスポーティなゴルフであることは間違いないだろう?」たしかにその通りなのだが、ちょっと非の打ちどころのない6代目GTIに乗ってしまうと、果たしてこの次はどうなるのだろうかと戸惑ってしまったのである。

エンジニア氏自身が触れた「R」モデルの存在も気になるところだ。4輪駆動で、よりパワフルな4気筒エンジンを搭載し、2009年秋にデビューするという「R」モデルは、GTI以上のパフォーマンスを発揮するはずだから、結果的にGTIの影を薄くすることにはならないのだろうか。

ずっとトップ・オブ・スポーティゴルフに君臨してきたGTIに、「R」モデルが取って代わることはないのか。

「RとGTIは別のクルマ。トップ・オブ・スポーティゴルフがGTIであり続けることに変わりはない」あくまで、「RとGTIは別物」というのがエンジニア氏の主張だった。

「R」モデルはデビュー前だし、6代目GTIは出たばかりである。そんな先のことを考えたって大きなお世話には違いないのだが、6代目GTIの完成度が高いがゆえに、その次が気になってしまったのだ。

基本となるゴルフの実用性の高さを一切損なうことなくスポーティドライビングを楽しむというGTIのコンセプトは、6代目でも輝きを失っていなかった。他のフォルクスワーゲンがまだ備えていないXDSとDCCによるシャシコントロールが、6代目GTIを際立たせていた。(文:金子浩久)

フォルクスワーゲン ゴルフGTI (欧州仕様車)6速DSG<6速MT> 主要諸元

●全長×全幅×全高:4213×1779×1469mm
●ホイールベース:2578mm
●車両重量:1339kg<1318kg>
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1984cc
●最高出力:155kW(210ps)/5300rpm
●最大トルク:280Nm/1700-5200rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:FF
●EU総合燃費:13.5km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●最高速:238km/h<240km/h>
●0→100km/h加速:6.9秒
※EU準拠

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