アウディのスポーツバックは美しいクーペシルエットを持つのが特徴と魅力である。近年、そのラインナップはSUVであるQシリーズにも展開されている。ここではモデル名に「5」を用いるシリーズ「A5」と「Q5」のスポーツバックを同時に連れ出し、その魅力に迫った。(Motor Magazine 2021年12月号より)

美しいスタイルを持つがカジュアルでもあるのが魅力

さて、今回の企画の主役であるQ5スポーツバックは日本初上陸となるので、クルマの概要について解説しておこう。ボディサイズは全長4695mm×全幅1900mm×全高1660mm。Q5のクーペスタイル版だからQ5とのエクステリアデザインの違いはルーフやリアセクションだけかと思いきや、シングルフレームグリルや前後バンパーなども専用設計とし、スポーツバックならではのスタイリングを際立たせている。

アドバンスドとSライン、2種類のグレードがあり、さらにそれぞれ異なったグリルデザインを採用。今回の試乗車は、Q5スポーツバック TDIクワトロ Sラインをベースにした限定モデル、ファーストエディション。

最近の輸入車に多く見られるファーストエディションだが、装備充実でお買い得なだけでなく、通常のオプション設定にない装備が奢られていたりする。たとえば、今回のモデルでは、マトリクスOLEDリアライトがそれにあたる。このライトは、停車中に後続車が2m以内に近づくと超音波センサーで探知して、リアOLEDライトをすべて点灯、後続車のドライバーに注意を促すというアラート機能を持つ。

画像: アウディQ5スポーツバック ファーストエディション。2LのTDIエンジンに12Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせることで走り出しから軽快な動きを見せる。先進の安全運転支援システムの充実も魅力である。

アウディQ5スポーツバック ファーストエディション。2LのTDIエンジンに12Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせることで走り出しから軽快な動きを見せる。先進の安全運転支援システムの充実も魅力である。

Q5スポーツバックはワインディングロードで気持ちよく曲がる

室内に乗り込むとQ5同様、最新のインフォテインメントシステムのMIB3が採用されている。センターコンソールにシフトレバーとモニターのスイッチを配置して、エアコンなどの必要なスイッチは装備、シンプルながら機能的で使い勝手のいいインテリアだ。

パワートレーンは、ディーゼルエンジンに、12Vリチウムイオンバッテリーを用いたマイルドハイブリッドシステムを採用。また、クラッチ付きのクワトロシステムを採用し、負荷がなく4WD走行を不要と判断した時に、プロペラシャフトとリアドライブシャフトを切り離すことでFFになる。また、コースティング時にエンジンを完全停止するなど、燃費向上のテクノロジーも採用されている。もちろん、走行中にFFになったとか、エンジンが停止したなんていうことは、ドライバーは知る由もない。

最高出力150kW(204ps)/3800-4200rpm、最大トルク400Nm/1750-3250rpmのアウトプットは必要十分なパワーフィールだ。けっして俊足ではないし、A5スポーツバックのような軽快さもないが、トルクでグイグイとボディを引っ張っていく感じは急かされるでもなく、まどろっこしくもなくとても心地良い。

画像: アウディA5スポーツバック40TDIクワトロ アドバンスド。エンジンラインナップはディーゼルが35TDI、40TDIの2機種、ガソリンが1機種の45TFSIに加え、S5スポーツバックが搭載する3L V6ターボとなる。

アウディA5スポーツバック40TDIクワトロ アドバンスド。エンジンラインナップはディーゼルが35TDI、40TDIの2機種、ガソリンが1機種の45TFSIに加え、S5スポーツバックが搭載する3L V6ターボとなる。

A5スポーツバックから乗り換えると、重厚感のあるドライブフィールだ。もちろん、物理的な重量差もあるが、重さを鈍重と感じることなく、あくまでSUVの骨太感や乗り味の違いとして捉えられる。それはやはり、軽快なフットワークのおかげだろう。ファーストエディションには、本来ならオプション装備となる「ダンピングコントロールサスペンション」を奢られており、この効果が大きいと思われる。ドライブセレクトはデフォルトのAUTOでも秀逸で、高速道路やワインディング、シチュエーションに応じて減衰をコントロールしてくれる。

ワインディングロードでダイナミックモードを試してみたが、タイヤからの入力がキツくなる感じではなく、むしろロールを規制される印象が強い。コーナーの進入で気持ち良く曲がり、その先、クルマが傾くという感覚もなく、ちょっと大げさにいうとカラダが真横に引っ張られるような感じ。おそらく、ドライバー以上に同乗者にやさしい動きだと思う。

ところで、クーペスタイルのフォルムはスタイリッシュだが、実用性が気になるところだろう。ボディサイズはQ5に対して全長が+10mm、全高は5mm減とほぼ同じだ。リアシートに座ったが、ヘッドクリアランス、ニークリアランスともに十分。ラゲッジスペースは、Q5が通常で550L、リアシートを倒すと1550Lなのに対して、Q5スポーツバックはそれぞれ510L/1480Lとなっている。Q5よりは少ないが、買い物やレジャーなどで使うには十分なスペースが確保されている。

ドイツプレミアムブランドがクーペSUVに揃っている

今回のファーストエディションは限定モデルなので、カタログモデルのTDIクワトロライン同士を比較すると、Q5に対して48万円高となっているが、一般的にセダンより派生モデルのクーペの方が車両価格を高く設定されるので、同じ考え方なのだろう。

ルックス、走り、実用性と3拍子揃ったQ5スポーツバックだが、同クラスにライバルがいる。メルセデス・ベンツ GLCクーペとBMW X4だ。メルセデスは4ドアクーペを流行らせたブランドであり、BMWはSACという独自の名称でクーペSUVを最初に出したパイオニアだ。

それぞれのモデルを確認したら、いずれも2L直4ディーゼルターボエンジン搭載モデルがあり、トルクは400Nm、パワーもほぼ近しい。ボディサイズも同格で、価格も770万円前後と真っ向勝負。ディテールの比較は今回はしないが、何と言ってもスタイリングのエレガントさはアウディQ5スポーツバックが一番だと言っていいだろう。(文:佐藤久実/写真:永元秀和)

画像: アウディ Q5スポーツバック ファーストエディション。Q5スポーツバックは全車、最高出力204ps、最大トルク400Nmを発生する2L 直4ディーゼルターボエンジンを搭載。SQ5スポーツバックは3L V6ターボだ。

アウディ Q5スポーツバック ファーストエディション。Q5スポーツバックは全車、最高出力204ps、最大トルク400Nmを発生する2L 直4ディーゼルターボエンジンを搭載。SQ5スポーツバックは3L V6ターボだ。

アウディ Q5スポーツバック ファーストエディション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4685×1900×1665mm
●ホイールベース:2825mm
●車両重量:1910kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1968cc
●最高出力:150kW(204ps)/3800-4200rpm
●最大トルク:480Nm/1750-3250rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・70L
●WLTCモード燃費:14.5km/L
●タイヤサイズ:235/55R19
●車両価格(税込):837万円

アウディ A5スポーツバック 40TDI クワトロ アドバンスド 主要諸元

●全長×全幅×全高:4755×1845×1390mm
●ホイールベース:2825mm
●車両重量:1680kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1968cc
●最高出力:150kW(204ps)/3800-4200rpm
●最大トルク:480Nm/1750-3250rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・58L
●WLTCモード燃費:14.6km/L
●タイヤサイズ:245/40R18
●車両価格(税込):662万円

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