■約1200kmグランドツーリングのルート
東京→岡崎(愛知)→京都→知立(愛知)→刈谷(愛知)→恵那(岐阜)→諏訪(長野)→山梨→東京
宿泊場所の充電器の有無や予約できるかの確認は必要
日本に上陸してまもないe-トロンGTの2台で東京から京都を経由して愛知、岐阜などいろいろなところを巡り東京まで戻るという、3泊4日のロングドライブするという計画で参加したのがこの取材だ。
走行距離が1000kmを超えるのは確実。これまで何度かBEVでの小旅行は経験しているが、けっこういろいろあるわけで。しかも今回は2台。何かある可能性も倍になる。果たしてどうなることやら・・・。
東京出発は夕方を予定していた。プレス試乗会最終日に品川区のインポーターで2台を充電してからと考えていたが、その車両が東名高速の集中工事による渋滞の影響でなかなか戻って来なくて、出発時間が予定より4時間以上遅くなってしまった。
おまけに首都高速C2の五反田ICから乗り、3号線を走り東名高速へ入ってしばらく走っていたところ、右左ルートに分岐する手前の55kmポストあたりから10kmほどべったり渋滞していて、さらにタイムロスしてしまった。
御殿場JCTで新東名へ。このあたりまでの行程は上り勾配であり、電費は往路下限の4.3km/kWhまで落ちていた。なお、2台ともコンフォートモードでエアコンは21度でオートに設定した。夜間の走行だったので、昼間には試せないような環境で、マトリクスLEDヘッドドライトの的確で緻密に制御するのを体感することができたのは収穫だった。
2台とも約150kmを走り清水PAで小休止した。この時点で、どちらも電費は4.7km/kWh前後の表示。なお、ここではeトロンGTを「GT」、RS eトロンGTを「RS」と表記するが、航続可能距離はこの時点でGTが269km、RSが252kmの表示。ここでの充電も考えたが、すでに深夜なので少しでも早く宿泊地に着けるよう、先を急ぐことにした。
初日の宿泊地である愛知県新城市のホテルの系列は充電設備を備えるイメージだったが、そこにはないことが長旅に出る直前に判明した。いまさら宿を変えるわけにもいかない。BEVで遠出する時は、そのあたり思い込みでなくちゃんと確認が必要という教訓を得た次第だ。可能ならば充電設備の予約もした方がいい。現地に着いたら先客がいた・・・ということもよくある話なのだ。
翌朝は新城ICから新東名へ。航続可能距離はGTが154km、RSが139kmの表示。最初の長篠設楽原PAの充電スポットに向かったところ、50kWの急速充電器が2台あるうち1台分で他車が充電中だったのでしばし待つことに。ところが30分を過ぎると、我々がうしろで待っているにもかかわらず「おかわり充電」をしようとした。
同行の西川氏がたしなめたところ、こともあろうか何が悪いのかと反論してきた。最終的にはしぶしぶながら移動してくれたのだが、現状そのあたりは利用者のモラルにかかっているわけで、BEVの台数が増えてくるなら、明確な規定も今後は必要となるはずだ。
ここで、RSは充電残量28%(航続可能距離113km)から、GTは30%(同127km)から充電開始。同じ充電器の左右で開始時間が数分違いのせいかRSの方が電圧は近いが大きな電流が出て、30分急速充電して、RSが53%(215km)、GTが49%(219km)となった。
さらに、約128km先の鈴鹿PAに1台分の急速充電器があるのでGTを充電。急速充電器を1台分しか設置していない施設もまだまだ多く、今回のように2台のBEVで旅した時に同時に充電できるとは限らないこともまた教訓となった。
一方のRSは、さらに先の草津PAで充電することに。航続可能距離が50kmを切るとアラートが出て、SAに到着した頃には、残量8%(34km)となり少々ヒヤヒヤした。草津PAに急速充電器は3台分あるのだが、到着してすぐにテスラとリーフが来て一瞬で3台分を埋めてしまった。遅れてGTが到着した頃に1台分空いたので、充電を試みたところ、なんと「ユニット異常」という表示が出で、機械が停止してしまった。こうした予期せぬトラブルに見舞われることもBEVでは珍しくない。
なんとか京都までは行けそうだったので、予定どおり大津ICで下りて、一般道を走り比叡山ドライブウェイへ。比較的タイトなワインディングロードでの走りを楽しむ。PAからは琵琶湖も見える景色のいい場所だ。
ここでは2台の走り味が違うことを実感。瞬発力だけでなくハンドリングも俊敏でグリップ感もRSの方が圧倒的に高い。電費はRSで2.0km/kWh、GTで2.1km/kWh、バッテリー残量と航続距離は36%(141km)と37%(151km)となった。