2025年までに販売する50%、2030年までにすべてのモデルをBEV化すると発表しているボルボ。そのボルボ初のBEV専用モデルとなるC40を、C40の生産工場があるベルギーで試乗した。(Motor Magazine 2022年1月号より)

XC40との共通点が多いとも、少ないとも言えるC40

そんなボルボのBEV化計画第1弾としてリリースされたのが、このC40リチャージである。ボルボがBEVを販売するのはこれが初めてではなく、2019年にはXC40ベースのBEV、XC40リチャージ P8 AWDをリリースし、欧州圏内で発売している(日本未導入)。しかしC40は、BEV版XC40と基本的に同一のハードウェアを持ちながらも、ボルボのBEV化計画にとってはるかに重要な意味を帯びている。

その第1は、これがBEV専用ボディである点。つまり、C40のハイブリッド車は生産されないのだ。「あくまでもBEV一本で生きていく」そんなボルボの覚悟が見え隠れする方針だ。もうひとつ注目すべきは、C40が全車レザーフリーとされたことにある。

レザーフリーとは、インテリアにレザーを一切使わないことを意味する。これは動物愛護の観点や、畜産業や酪農業が温室効果ガス排出に大きなインパクトを有していることから下された判断だ。ただし、自動車メーカーで明確にレザーフリーを謳ったのは、私が知る限りボルボが初めて。しかも、今後登場するBEVはすべてレザーフリーにするというから、その意気込みが伝わってくる。

ハードウェア面でC40とBEV版XC40の間に共通点が多いことは前述のとおりで、CMAプラットフォームをベースに78kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。計408psを発揮する2基のモーターで前後輪を駆動する4WDとなる点は、すべてXC40と同じ。

ただし、今後はフロントのみにモーターを搭載した前輪駆動版も登場する見通しとのこと。ちなみに航続距離は最長485km。充電容量は、CHadeMo対応となる日本仕様でも150kWを確保するというから心強い。

画像: XC40と同じCMAプラットフォームを使用し、電気自動車専用モデルとして設計された。写真はXC40のもの。

XC40と同じCMAプラットフォームを使用し、電気自動車専用モデルとして設計された。写真はXC40のもの。

ボルボのBEVに期待するすべてが詰まったC40

試乗会が催されたのは、XC40やC40を生産するゲント工場が建つベルギーで、ブリュッセル空港からゲントまでを往復する200kmほどの行程。これを1泊2日で走破した。

率直にいって、C40にはみなさんがボルボのBEVに期待するすべてが詰まっていると思う。たとえば、408psを誇示するような過激な発進特性は与えられず、あくまでもスムーズな身のこなしに終始。ボルボのBEVは全車ワンペダルドライブを装備するそうだが、C40の場合もスロットル操作に対する反応は洗練されていてドライバビリティは優秀だった。

安心感が強いハンドリングにも不満はない。乗り心地はソフト傾向。ただし、大入力時に微振動が残る点は、導入当初のXC40に共通する弱点と言えるが、XC40がそうだったように、C40もこの点は徐々に改良されるだろう。

ひとつ意外だったのは、高速域で思いのほか鋭い追い越し加速を披露する点。408psの面目躍如といったところだが、ボルボBEVの新しいキャラクターとして注目したいポイントだ。

クーペスタイルのフォルムは軽快でパーソナル感溢れるもの。レザーフリーのインテリアは、質感の点でXC40とはおもむきが異なるが、これもボルボの新たな理念を示すものとして注目したい。いずれにせよ、ボルボらしいBEVが誕生したことは間違いないだろう。(文:大谷達也/写真:ボルボカーズ)

画像: ワンペダルドライブは優れたドライバビリティを実現。

ワンペダルドライブは優れたドライバビリティを実現。

ボルボC40リチャージ主要諸元

●全長×全幅×全高:4440×1875×1595mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:2160kg
●モーター:交流同期電動機
●モーター最高出力:300kW(408ps)/4350-1万3900rpm
●モーター最大トルク:660Nm/0-4350rpm
●バッテリー総電力量:78kWh
●一充電航続距離:485km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前235/45R20、後255/40R20
●車両価格(税込):719万円

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