2009年、ルノー初のクロスオーバーモデルとなる「コレオス」が日本市場にデビューした。強力なライバルひしめく日本市場にやってきたフレンチSUV、その狙い、特徴はどこにあったのか。ここでは国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年8月号より)

あえてニッサン車と競合するモデルを導入する自信

画像: ルノーのクロスオーバー「コレオス」。プラットフォームは「日産デュアリス」などと共用するものの、内外装や乗り心地、使い勝手などはルノーそのもの。

ルノーのクロスオーバー「コレオス」。プラットフォームは「日産デュアリス」などと共用するものの、内外装や乗り心地、使い勝手などはルノーそのもの。

コレオスの成り立ちを簡単に説明すれば、「ニッサンのメカニズムコンポーネンツを使ったルノーのコンパクトSUV」となるのだろうか。でも、それではどうも説明不足、大きな誤解を招きかねないだろう。

たしかに、PT32と呼ばれるプラットフォーム、オールモード4×4i 4WDシステム、エクストレイルに搭載されるものと基本的に同じ2.5L直列4気筒 NAエンジン、6速CVT(エクストロニックCVT-M6)など、根っこのハード部分はニッサンから譲り受けたもの。

しかし、そこから先はずいぶん違う。クルマとしてどう仕上げるか。実はそこが問題だ。ルノーとしては、ニッサンのメカニズムを使うからには、ニッサン以上のもの、ニッサンとは異なる魅力あふれるモデルを開発する自信があったということ。ニッサンとの単純な兄弟車は作りたくなかったということだろう。ボディはルノー独自のもので、細部の作り込みも、エクステリアもインテリアもニッサン車とはまったく違う。もちろん、サスペンションやエンジンのセッティングも、ブレーキ、電子制御システムも違う。

ルノー・ジャポンの大極司(だいごく・つかさ)COOも「コレオスは10年にわたるルノーとニッサンの愛の結晶、互いの良い部分を兼ね備えたイイトコ取りのクルマです。この10年間、ルノーとニッサンはたくさん喧嘩しましたが、その度により深く理解し合い尊重しあうところまでたどり着きました。そして生まれた商品がコレオスなのです」と胸を張る。また「フランス文化が浸透している日本で、フランスらしい創造力あふれるトレンディさ、F1レースにかけてきた情熱と技術力をもって、ルノー・ブランドを日本市場に確立したい」と、あえてニッサン車とライバル関係となるこのモデルを日本市場に投入する理由と意味を説明する。

走りはSUV、使い勝手はミニバンライクな、万能選手だ

画像: コレオスの構造図。ルノー独自のメカニズムも盛り込まれている。

コレオスの構造図。ルノー独自のメカニズムも盛り込まれている。

では、コレオスとは具体的にどんなクルマだろう。その狙いは、乗用車のシャープな走りとデザイン、SUVのダイナミックな4WD走破能力、ミニバンの快適な居住空間を併せ持つ、いわゆるクロスオーバー。たっぷりとした居住空間を実現するためもあってボディサイズは4525×1855×1710mmとやや大きめで、エクステリアはアプローチアングル、デパーチャーアングルにも配慮した本格的なSUVデザインとしている。しかしその一方で、インテリアは柔らかな曲線でまとめられ、乗用車ライクな明るい色調(プレミアムはベージュ本革が標準)を基本としていて、武骨さは微塵も感じられない。

実際に乗ってみると、インテリアのイメージ同様、走りはしなやかで優しく、乗り心地が抜群にいい。サスペンションスプリング、ダンパー、ラバーブッシュ、サブフレーム剛性、シート剛性、シートクッション弾性などがうまくセッティングされているのだろう。

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