「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、マツダ デミオだ。

ステアリング操作に対しリニアに反応してくれる

旧型では、こうはいかなかった。軽快だが荒削りな感覚があり、ステアリングもとにかくシャープに反応する。そのほうが元気がいいように感じる部分もあるが、リニアリティのなさは否めない。雨のワインディングロードで扱いやすいのは明らかに新型といえるだろう。

それはエンジンに対してもいえることだった。レスポンス良く、低中速トルクも豊かに感じる旧型ではあるが、実はやや扱いにくい部分がある。アクセルをちょっと踏み込んだだけでトルクが立ち上がるその特性は、元気さこそあるものの、調教しにくいように感じてしまう。

画像: 新開発のSKYACTIVーG 1.3エンジンは量産ガソリン車で世界一の高圧縮比14.0で10・15モード燃費30.0km/Lを達成。

新開発のSKYACTIVーG 1.3エンジンは量産ガソリン車で世界一の高圧縮比14.0で10・15モード燃費30.0km/Lを達成。

スカイアクティブGは、低中速トルクが薄いように感じる部分があるものの、アクセルに対してトルクがリニアに立ち上がり、どんな状況でもコントロールしやすいところがメリットのひとつ。高圧縮だとトルクが得られにくいというデメリットがあるらしいが、このドライバビリティを考えればそれほど悪くはないと思えた。

そんな良いことずくめの新生デミオだが、唯一走りだけを考えた場合にネックになるのが転がり抵抗を低減したタイヤだった。新旧ともに同銘柄ではあるが、新しいものにはエコタイヤの証であるエンブレムが入るようになった。そのウエットグリップがやや不足しているように感じるのだ。とはいえ、新生デミオのスカイアクティブにはDSCが標準装備されたから、目くじらを立てるレベルではない。

スカイアクティブGを搭載したデミオは、燃費向上だけに終わらず、走りも根本から磨いており、全方位的に成長した一台だ。

画像: アクセルに対してトルクがリニアに立ち上がり、どんな状況でもコントロールしやすいところがメリットのひとつ。

アクセルに対してトルクがリニアに立ち上がり、どんな状況でもコントロールしやすいところがメリットのひとつ。

■マツダ デミオ 13-SKYACTIV 主要諸元

●全長×全幅×全高:3900×1695×1475mm
●ホイールベース:2490mm
●車両重量:1010kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:1298cc
●最高出力:62kW<84ps>/5400rpm
●最大トルク:112Nm<11.4kgm>/4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●JC08モード燃費:25.0km/L
●タイヤ:175/65R14
●当時の車両価格(税込):140万円

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