2022年1月13日、トヨタの人気ミニバン「ノア/ヴォクシー」が第4世代へとフルモデルチェンジを果たした。およそ8年間で約140万台を売りまくったという従来モデルの魅力をしっかり受け継ぎながら、新型が目指したのは「もう一歩先の、新しい挑戦」。実車を前に開催された事前説明会を通して感じられたのは、ともすればキープコンセプトになりがちな定番モデルの、想定以上な劇的進化だった。

革新 6:メカニズム一新。本家プリウスをさしおき、最新世代ハイブリッドを採用

用意されるパワートレーンは2タイプ。10速ダイレクトシフトCVTを組み合わせた2L 直4ユニット(最高出力170ps/最大トルク202Nm)搭載モデルは、WLTCモード燃費15.1km/Lを達成している。もちろんこちらも非常に高効率だが、注目はやはり1.8L 直4DOHCと電気モーターを組み合わせたハイブリッドユニットだろう。

画像: 軽量、高剛性な新世代シャシや第5世代のシリーズパラレルハイブリッドなど、基本性能の伸びしろは大きそうだ。

軽量、高剛性な新世代シャシや第5世代のシリーズパラレルハイブリッドなど、基本性能の伸びしろは大きそうだ。

これまで、トヨタのハイブリッドシステムはその大きな代替わりを、プリウスから行うのが通例だった。だが今回初めて、新型ノア/ヴォクシーから新世代のハイブリッド技術が投入されている。

プリウスの第4世代、アクアやヤリスなどの第4.5世代に対して、第5世代となる「トヨタ シリーズパラレルハイブリッドシステム」は、すべての電動モジュールが一新されている。モーター、バッテリーはより高出力化、1.8L直4DOHCも含めてシステム全体での効率が高められた。また、パーツ形状の細かな改良などによって、ユニット自体はよりコンパクトにまとめられている。

これらの改良によって、ハイブリッドのパフォーマンスはトータルで引き上げられている。最高出力はエンジン98ps+モーター95ps。最大トルクはそれぞれ142Nm+185Nmとなる。同時に、ハイブリッドモデル(2WD)のWLTCモード燃費は23.4km/Lと、先代ハイブリッドから約23%向上した。

画像: E-Fourのトランスアクスルユニット。専用開発されたオイルによって抵抗を減らすことで、2WDとの燃費差が比較的小さいという。リアモーターの性能は出力が30kW(プリウス比約600%)、最大トルクが84Nm(同約150%)に達している。

E-Fourのトランスアクスルユニット。専用開発されたオイルによって抵抗を減らすことで、2WDとの燃費差が比較的小さいという。リアモーターの性能は出力が30kW(プリウス比約600%)、最大トルクが84Nm(同約150%)に達している。

同時に注目すべきは、電気式4WD「E-Four」の大幅なグレードアップだろう。4WD用リアトランスアクスルには、プリウスのシステムよりも高出力なリアモーターを搭載(最高出力41ps/最大トルク84Nm)。発進加速Gは従来比で約30%改善されている。またコーナリング時には、フィードフォワードによって適切な駆動力を配分する機能も備え、優れたライントレース性をサポートしてくれるという。

新型ノア/ヴォクシーのパフォーマンスアップは、日常的なシーンでもわかりやすく実感することができそうだ。

革新 7:つながる才能も大きく開花。ディスプレイオーディオはスマホ感覚

画像: ヴォクシーS-Zのインターフェイス。10.5インチの大型ディスプレーは1280×720ピクセルのHD仕様。HDMI入力にも対応しており、愛用のスマートフォンやPCなどと接続して配信コンテンツを映し出すミラーリングが楽しめる。

ヴォクシーS-Zのインターフェイス。10.5インチの大型ディスプレーは1280×720ピクセルのHD仕様。HDMI入力にも対応しており、愛用のスマートフォンやPCなどと接続して配信コンテンツを映し出すミラーリングが楽しめる。

最後の革新ポイントとして紹介しておきたいのが、インターフェイスだ。インストルメントパネルの造形などは比較的シンプルだが、それがかえってスマートな機能性を強く感じさせている。素材にもこだわることで、非常に落ち着きのある室内空間が作り上げられている。

ここで注目したいのは、新しいディスプレイオーディオの採用だ。標準装備の8インチディスプレイ(ノアXのみ7インチ)はT-Connectのオプションサービス「コネクトナビ」に対応。登録から5年間は無料で、通信によるセンターからの各種情報提供や音声認識サービスなどの恩恵をスマートフォン感覚で楽しむことができる。

さらにエンタメ性にこだわるなら、オプションの10.5インチのフルHDワイド画面を持つ「ディスプレイオーディオPlus」がおススメ。映像コンテンツをより大きな画面で楽しめるほか、地図データなどを車載していることから、安定したサービス提供を可能にしている。

こうした様々な革新ポイントを見てくるとますます、「もう一歩」どころか数歩先までひと足飛びに進化したように思えてくる新型ノア/ヴォクシー。水澗チーフエンジニアの言葉の端々から感じられた「これまでやりきれなかったことを、第4世代でやりきった」という、すがすがしいまでの達成感と自信は確かに、優れた製品として結実しているように思える。

画像: 新型ノア/ヴォクシーの開発陣。前列中央が、統括した水澗英紀チーフエンジニアだ。

新型ノア/ヴォクシーの開発陣。前列中央が、統括した水澗英紀チーフエンジニアだ。

気になる価格帯は、ノアが267万円~389万円、ヴォクシーが309万円~396万円(どちらもウェルキャブを除く)。従来型に比べると車両価格もやや「グレードアップ」されているが、それに見合った上級シフトであることは間違いない。

まだ試乗する前の段階ではあるのだけれど、新型の伸びしろはノア/ヴォクシーのFMC史上最大と言えるかも。そんな予感が今、している。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久/写真:篠原政明)

■新型ヴォクシー ハイブリッド S-Z 2WD主要諸元

●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1670kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター
●総排気量:1797cc
●最高出力:72kW(98ps)/5200rpm
●最大トルク:142Nm(14.5gm)/3600rpm
●フロントモーター最高出力:70kW(95ps)
●フロントモーター最大トルク:185Nm(18.9kgm)
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・52L
●WLTCモード燃費:23.0km/L
●タイヤサイズ:205/55R17
●車両価格(税込):374万円

■新型ノア ガソリン Z 2WD主要諸元

●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1640kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1986cc
●最高出力:125kW(170ps)/6600rpm
●最大トルク:202Nm(20.6gm)/4900rpm
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・52L
●WLTCモード燃費:15.0km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格(税込):324万円

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