今後、日本市場へのハイブリッドモデルの導入が本格化するベントレー。伝統が培ってきたクラフトマンシップは、電動化という流れの中でも変わりはしない。ここではベントレー モーターズ ジャパン ブランドディレクター 牛尾裕幸 氏に、2022年に描く将来への展望を訊いた。
電動化を進めながらも、伝統のクラフトマンシップは不変です
本誌 千葉知充(以下、MM) 発表された販売台数を見ると、2021年はとても素晴らしい実績となりましたね。日本市場においても、前年比30%増の596台を達成。まずはその好調の要因を教えていただけますか。
牛尾裕幸 氏(以下、牛尾) そうですね。2021年は、ベントレーにとって記念すべき年になりました。日本での販売も、過去最高を更新しています。そうした好調を支えているのは、もちろんユーザーのみなさまのおかげ、という点がまずあります。プロダクトモデルとしては、第二世代ベンテイガやフライングスパーのV8モデルが通年で貢献してくれました。
同時にブランドとしては、これまでの100年を振り返り、これからの100年に向けてどのように活動していくかを明らかにした「ビヨンド100」という戦略を発表したことで、より注目されることになったことも要因ではないでしょうか。コロナ禍が続く中で、お客さまときちんとコミュニケーションを取り続けていただけたディーラーのみなさまの努力も、大きいと思います。
MM そうした中で今、SDGs、カーボンニュートラルには、どのように取り組まれているのでしょうか。
牛尾 やはり、2020年暮れに発表したビヨンド100戦略に沿って展開しています。そこには4本の柱としてサスティナビリティ、ダイバーシティ、デジタル化、レジリエンスの強化が挙げられています。レジリエンスは財務面の話、つまり企業としての持続可能性の話なので、最初の3つに関して、もう少し詳しく説明させていただきたいと思います。
まず、サスティナビリティに関しては、2030年までにエンド トゥー エンドでのカーボンニュートラルを達成することを目標としています。大きなポイントは、やはり電動化ですね。2021年にはベンテイガ、フライングスパーのハイブリッドモデルをローンチさせていただきました。それがまずはビヨンド100戦略の可能性を示す最初の取り組み、と我々は位置づけています。ベントレーとしては2025年には、ブランド初のEV発売を公表し、さらに2030年にはすべての車種がEVとなる計画です。
MM 2025年以降はPHEVも含めてラインナップを電動化した上で、2030年にはBEV化を図る、ということでしょうか。
牛尾 そういうロードマップになります。
MM 初めてのBEVはベンテイガだと勝手に思っているのですが。サイズ的に余裕のあるSUVは作りやすい、というイメージを持っていたものですから。
牛尾 最初はSUVではないと聞いております。2025年までに全シリーズがハイブリッド化されて、その後、何らかのBEVが登場するということです。それが既存のモデルになるのか、まったく違う新しいラインナップになるのかは、まだわかりません。
MM いずれにしても、既存のユーザーのみなさんは、電動化への期待感はどのようなものでしょうか。私もベントレーのプレミアムBEVへの興味は日増しに高まっています。
牛尾 ことベントレーとしては、なんと言っても強みはクラフトマンシップにあります。それは電動化されても変わりません。2019年に創立100周年を迎えた時に、EXP100GTというコンセプトカーを発表しました。再生可能な素材をふんだんに使ったクルマですが、目指すことろはベントレーらしい「ラグジュアリーモビリティ」の世界を実現することです。