2022年2月8日、韓国の自動車メーカー「Hyundai」が、100%子会社の日本法人「Hyundai Mobility Japan」を設立、電気自動車の「アイオニック5(IONIQ5)」と燃料電池自動車の「ネッソ(NEXO)」のZEV(ゼロエミッションビークル)2モデルで日本市場に再上陸した。今回はヒョンデが満を持して投入した「アイオニック5」の詳細を報告する。

日本での馴染みは薄いが、世界的人気は高い

2009年12月に日本の乗用車市場の撤退から約12年、Hyundai(ヒョンデ)が2車種のZEVで日本市場へ久し振りに復活した。1台は、電気自動車(BEV)のアイオニック5である、もう1台は燃料電池車(FCEV)のネッソである。今回はアイオニック5に試乗した印象を報告する。

ところで日本再参入にあたり変わったことがある。まずは日本法人名を「現代自動車ジャパン」から「Hyundai Mobility Japan」へと変更、さらに呼び名も「ヒュンダイ」から「ヒョンデ」と変えている。これは2020年に世界統一呼称に変更されたものだ。そして販売は、ディーラーを持たない、すべてオンライン完結型となった。

このアイオニック5と今回同時に発表したネッソとも、2022年5月よりオーダー受付開始、7月からデリバリー予定となっている。さらに7月にはヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンターも開設予定である。つまり日本参入に向けて、現在着々と準備を進めているということだ。

またヒョンデは1967年に設立され、現在は世界200カ国以上で約800万台(KIAとの合計)のクルマを販売している。長いブランクがあるため日本での馴染みは薄いが、グローバルで高い人気を持ち、実績を兼ね備えている企業である。

画像: アイオニック5はバッテリー容量や装備、駆動方式などによって4つのグレードを用意する。

アイオニック5はバッテリー容量や装備、駆動方式などによって4つのグレードを用意する。

パラメトリックピクセルと日本へのローカライズに注目

さてアイオニック5に戻る。このBEVは、バッテリー容量58kWh/1モーターのベースグレード、72.6kWh/1モーターのヴォヤージ、ラウンジ、そして72.6kWh/2モーターのラウンジAWDというラインナップとなる。その中で今回試乗したのはラウンジAWDだ。

このモデルの概要をまずは記す。ディメンジョンは、全長4635×全幅1890×全高1645mm、ホイールベースは3000mmとなる。この余裕あるホイールベースが室内の快適性と走りに好印象をもたらしている。またBEV専用のE-GMP(エレクトリック グローバル モジュラー プラットフォーム)を採用する。

エクステリアは、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインした1974年型ポニーコンセプトをオマージュしたデザインとなり、ヒョンデの過去と現在、そして未来と繋ぐ「時間を超えた価値」が開発コンセプトになっている。さらに独創的なパラメトリックピクセルがデザインアイコンになっているところも特徴である。

画像: IONIQ5のアイコンと言えるパラメトリックピクセル。LEDヘッドライト&テールライトに採用されている。

IONIQ5のアイコンと言えるパラメトリックピクセル。LEDヘッドライト&テールライトに採用されている。

ところでアイオニック5は、すでにグローバルでは販売されていて、その実力が認められ、世界中で高い評価を得ている。たとえばジャーマンカーオブザイヤーを受賞、ヨーロッパカーオブザイヤーではファイナリストとなり、ワールドカーオブザイヤーでは10ベストに選ばれている。

AWDと付けられていることからもわかるように、前後に電気モーターを搭載し駆動する4WDモデルで、最高出力は305ps、最大トルクは605Nmを発生、一充電走行距離(WLTCモード)は577km(RWDモデルは618km)となる。

ドライブフィールは、プレミアムと呼ぶに相応しいものだった。静粛性が高く、長いホイールベースの恩恵を受けた室内は実に快適な乗り心地が味わえ、BEVらしい加速感も含めかなり完成度が高いと言える。ワインディング路では、バッテリーがフロア下に配置されているため重心も低く、コーナリングも気持いい。思いどおりのラインをトレースできる、走りが実に楽しい。これまでに多くのBEVに試乗してきたが、欧州プレミアムBEVに勝るとも劣らない完成度だと言っていいだろう。

画像: メーター、ナビゲーション用12.3インチディスプレイを2枚並べる。スライドコンソールは140mm移動可能。

メーター、ナビゲーション用12.3インチディスプレイを2枚並べる。スライドコンソールは140mm移動可能。

日本ローカライズもアイオニック5のトピックスだと言える。たとえば、ウインカーレバーの位置は日本車の同じ右側、ナビゲーションシステムも日本メーカーのものを採用している。また輸入車としては唯一、車両の電源を電気製品に供給するV2Lや自宅に電力を供給するV2H機能を搭載している。つまり相当、日本のマーケットを研究しているということだ。さらにはADASも最新の機能を有している。それは一般道や高速道路で確認できたが、かなり優秀だった。

ちなみにクルマの保証期間は5年または10万km、駆動用バッテリーは8年または16万kmまでとなっている。

ユーザーにとってBEVやFCEVの新しい選択肢が増えることは大歓迎である。それが評価できるプロダクツであるならばなおさらだ。ヒョンデが、そしてアイオニック5が日本市場でどのように受け入れられるのかとても楽しみである。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充) 

ヒョンデ アイオニック5 ラインナップ

アイオニック5(58kWh/RWD):479万円
アイオニック5 ヴォヤージ(72.6kWh/RWD):519万円
アイオニック5 ラウンジ(72.6kWh/RWD):549万円
アイオニック5 ラウンジAWD(72.6kWh/4WD):589万円

ヒョンデ アイオニック5 ラウンジ AWD 主要諸元

●全長×全幅×全高:4635×1890×1645mm
●ホイールベース:3000mm
●車両重量:2100kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:225kW(305ps)/2800-8600rpm
●最大トルク:605Nm(61.7kgm)/0-4000rpm
●バッテリー総電力量:72.6kWh
●WLTCモード航続距離:577km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格(税込):589万円

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