自動車メディア業界で2月の恒例行事となっているのが「JAIA(日本自動車輸入組合)輸入車試乗会」。組合に加入する各インポーターが最新モデルを用意し、自動車メディアがそれらを朝から夕まで何台も取材するというもの。今回は、まず注目のEV(電気自動車)3モデルに試乗してみた。

先進性と高級感を融合させた「eトロン スポーツバック」

画像: スタイルこそクーペSUVだが、その走りはスポーツカーと呼べるほどのハイパフォーマンスを発揮する。

スタイルこそクーペSUVだが、その走りはスポーツカーと呼べるほどのハイパフォーマンスを発揮する。

最後にハンドルを握ったのは、アウディのeトロン スポーツバック 55クワトロ Sライン。ボディ全体の派手なラッピングは、デモカー専用アイテムだ。「eトロン」はアウディのEVを示す名称だが、複数のモデルが存在する。ただのeトロンはSUV。今回のeトロン スポーツバックはクーペSUV。eトロンGTは4ドア グランツーリスモ。そして、コンパクトSUVのQ4 eトロンとクーペSUVのQ4 スポーツバック eトロンも日本仕様が発表された。

今回試乗したeトロン スポーツバックは、全長4.9mの堂々たる体躯に95kWhもの大容量バッテリーを搭載し、さらに前後2つのモーターで駆動する4WDモデル。アウディ最初のEVとして投入された、アウディ電動化の嚆矢となる。

その先進性は運転席に乗り込んだだけでも十分に感じられる。小型カメラで後方を撮影してディスプレイに映し出すバーチャルエクステリアミラーをはじめ、3つの大きなディスプレイを使ったアウディバーチャルコクピットは、文句なしに現在のカーエレクトロニクスの最前線をゆく。これまでのアウディや欧州プレミアムカーの路線を継承しつつ、未来を開拓しようというアウディの意地を感じさせる。

短時間の試乗でも、その走りには重厚感があり、プレミアムカーらしい快適性と静粛性が備わっていることを再認識させられた。ゆったりと街中を流すだけでも、クルマとしての、つくりの良さが感じられる。先進のEVというだけでなく、プレミアムカーに乗っているという満足度が得られる。これは、今回試乗した3台の中では最も強く感じられた印象だ。

画像: クオリティの高いインテリアは、プレミアムカーに乗っているという満足度も得られるだろう。

クオリティの高いインテリアは、プレミアムカーに乗っているという満足度も得られるだろう。

「クルマがEVになると、どれも同じような白物家電のようになるのでは」という不安はあった。しかし、家電が進化してバラエティ豊かになったように、EVも進化することでそれぞれの味わいを醸成しているのだろう。短い時間ではあったが3台を乗り比べてみれば、エンジン車と同じように、それぞれの味わいの違いが楽しめた。

EVだらけの時代になっても、それほど悲観することはないだろう。そんな時代になれば、そんな時代なりの面白いクルマが登場してくれそうだという気にさせてくれた試乗会だった。(文:鈴木ケンイチ/写真:Webモーターマガジン編集部)

■アウディ eトロン スポーツバック 55クワトロ Sライン 主要諸元

●全長×全幅×全高:4900×1935×1615mm
●ホイールベース:2930mm
●車両重量:2590kg
●モーター:交流同期電動機×2
●システム最高出力:300kW(408ps)
●システム最大トルク:664Nm
●バッテリー総電力量:95kWh(パフォーマンスバッテリー)
●WLTCモード航続距離:423km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:265/45R21
●車両価格(税込):1291万円

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