自動車メディア業界で2月の恒例行事となっているのが「JAIA(日本自動車輸入組合)輸入車試乗会」。組合に加入する各インポーターが最新モデルを用意し、自動車メディアがそれらを朝から夕まで何台も取材するというもの。今回は、まず注目のEV(電気自動車)3モデルに試乗してみた。

乗った印象は意外とオーソドックスな「モデル3」

画像: 1モーターのエントリーグレードとはいえ、EVらしい加速の鋭さなどは変わらない。

1モーターのエントリーグレードとはいえ、EVらしい加速の鋭さなどは変わらない。

続いては、テスラ モデル3。手ごろな価格とサイズ、テスラらしい個性で本国アメリカだけでなく、欧州や中国でも大ヒットし、日本でも注目を集めているコンパクト セダンだ。試乗したのはエントリーグレードとなる、1モーターの後輪駆動モデルだ。

このクルマならではの特長は、走り出す前のサプライズだろう。クルマへのアクセスはカードキー、もしくはスマートフォンのアプリだ。カードキーの場合は、Bピラーにカードをタッチする。駅の改札口でカードをタッチするような感覚でドアロックを解除して乗り込み、シートベルトを締めて、セレクターをDにシフトして、アクセルを踏み込めば、すぐにスタートできる。システムのスタートスイッチを押す必要はないし、パーキングブレーキの操作もない。

インテリアも普通のクルマとは大きく異なる。物理的なスイッチが、ほとんどないのだ。ハンドルコラムにある左右のレバーと、ハンドルスポークのスイッチ2つ、アクセルとブレーキのペダル。それと天井にあるハザードスイッチ、これだけだ。それ以外の操作はセンターコンソールにある15インチのディスプレイで行う。これほど操作系が簡素化されており、しかも運転支援システムも充実しているというクルマは見たことがない。この革新性や先進性こそが、テスラ最大の特長であり、魅力といえるだろう。つまり、折りたたみ式ガラケーの世界にスマートフォンが登場したようなものだ。

画像: 物理的なスイッチがほとんどない、独特のインテリア。エアコンやオーディオなどの操作は、15インチのディスプレイで行う。

物理的なスイッチがほとんどない、独特のインテリア。エアコンやオーディオなどの操作は、15インチのディスプレイで行う。

またモデル3は、従来からの主力セダンであったテスラ モデルSに比べて、ひとまわり以上も小さくなっている。モデルSは全幅が1964mmもあって、日本で普段使いにするには大きすぎた。そういう意味でも車両価格が500万円を切り、全幅も1850mmのモデル3は、日本市場でも普通に使えるセダンではないだろうか。

そんなモデル3の走りはどうかといえば、ひとことで言えば「必要十分」。もちろん、アクセルペダルを踏み込めば、0→100km/h加速6.1秒という俊足を誇る。この数値は、ポルシェ マカンのスタンダードモデル(6.4秒)を上回るもの。しかし、街乗りで感じるのは速さや軽快感ではなく、安心や落ち着き。ひと言で言ってしまえば「普通のアメリカンセダン」そのもの。人とクルマの接点であるHMI(ヒューマン マシン インターフェース)は最新でありながらも、走り味は意外にもオーソドックスなのがユニークなところではないだろうか。

■テスラ モデル3 主要諸元

●全長×全幅×全高:4695×1850×1445mm
●ホイールベース:2880mm
●車両重量:1760kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:未発表
●最大トルク:未発表
●バッテリー総電力量:未発表
●WLTPモード航続距離:565km
●駆動方式:RWD
●タイヤサイズ:235/45R18
●車両価格(税込):479万円

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