2009年、ジャガーXFに5L V8スーパーチャージドエンジンを搭載する「XFR」が追加設定された。従来の「SV8」に代わるハイパフォーマンスサルーンはどんな個性を持っていたのか。Motor Magazine誌では上陸したばかりのXFRにさっそく試乗している。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年9月号より)

ハイパフォーマンスなのに、どうしてこんなに快適なんだろう

XFRには、路面状況や運転スタイルに合わせてダンパーの設定を細かく連続可変させるアダプティブダイナミクスと、リアタイヤのトルク配分を適正化するアクティブデファレンシャルコントロールが標準で装備される。今回の試乗ではその効果をフルに実感することはなかったが、それでも日常的な走行シーンにおける快適性が犠牲にされていないことには驚かされた。

画像: エンジンだけでなく、エクステリアにもトップモデルらしい演出が加えられている。撮影車両のボディカラーはアルティメットブラック。

エンジンだけでなく、エクステリアにもトップモデルらしい演出が加えられている。撮影車両のボディカラーはアルティメットブラック。

一般路でもワインディング路でも、旧来のハイパフォーマンスモデルに対する固定観念をあっさりと捨て去ってくれる。それでいてアクセルペダルを踏み込めば、エンジンの力強さとしてだけでなく、ダイナミクス性能の全体として、強烈なパフォーマンスを発揮してみせる。

このクラスのモデルには、どれだけ独自の乗り味や満足感を味わわせてくれるのかということが大事だ。どれだけパワーがあるとか、最高速度がこんなに高いとか、加速タイムが素晴らしいとか、サーキットのラップタイムが優れているとかという数字で表現されるものは、備えているのが当然のこと。それを実現した上で、内外装のデザインも含めて、さらにどれだけそのモデルでなければ味わえないものを備えているのかということが、高価で高性能であることの奥深さとして必要だと思う。

ジャガーには、乗っている人間の気持ちを豊かにしてくれるようなしなやかなパフォーマンスと、高い性能を両立させるクルマづくりのノウハウがあり、このXFRからはそれが存分に感じられる。ドイツのプレミアムブランドにも、もちろんそれぞれの個性があるが、それらを知っていればいるほど、ジャガーでなければ味わえないこの特質を理解できるのではないか。

親会社の国がどこになろうとも、その下でしたたかに自分たちが考える道を貫く術を備えたジャガーの人々。XFRを走らせていると、そんな彼らの「どうだ、悪くないだろ?」という言葉と、会心の笑い声が聞こえてきた気がした。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁/写真:堀越 剛)

ジャガー XFR 主要諸元

●全長×全幅×全高:4970×1875×1460mm
●ホイールベース:2910mm
●車両重量:1960kg
●エンジン:V8DOHCスーパーチャージャー
●排気量:4999cc
●最高出力:375kW(510ps)/6000-6500rpm
●最大トルク:625Nm/2500-5500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●タイヤサイズ:前255/35R20、後285/30R20
●JC08モード燃費:6.6km/L
●車両価格:1200万円(2009年当時)

This article is a sponsored article by
''.