2021年末にお披露目され、東京マラソン2022の先導車に選ばれたスバル初のBEV(電気自動車)「ソルテラ」。FRスポーツカーであるスバル BRZ/トヨタ GR86と同じように、トヨタ自動車との共同開発によって生まれたもの。では、トヨタの新型BEV「bZ4X」に対してどのように差別化し、スバルらしさを表現したのだろうか。雪上走行で見えてきたものとは?

共同開発のメリットを活かしつつ、スバルらしさは健在

今回は雪上を走る機会があったのでその印象を報告する。用意されたのは群馬サイクルスポーツセンターの特設コースである。ソルテラが搭載するリチウムイオンバッテリーの総電力量は71.4kWh。これはbZ4Xも同じである。FWDと4WDモデルがラインナップするが、今回試乗できたのは4WDモデルである。

ところで「スバルブランドで出すなら4WDモデルだけあればいいのでは?」と思っていたのでこのあたりを開発者に聞いたところ、「最初は間口を広げ、BEVへの敷居を下げるためFWDも用意したという。4WDもFWDもスバルらしさは健在です」というコメントが返ってきた。 

ちなみにFWDのシステム最高出力は150kW、4WDモデルは80kWの出力を持つモーターを前後に搭載してシステム最高出力160kWとなっている。一充電走行距離はWLTCモード値でFWDが530km前後、4WDで460km前後となる。またbZ4X同様にソーラールーフパネルで充電するシステムはオプションでソルテラにも用意される。こちらも年間約180km程度の航行距離を充電することが可能である。

画像: FWDのシステム最高出力は150kW、4WDモデルが160kWとなっている。

FWDのシステム最高出力は150kW、4WDモデルが160kWとなっている。

運転支援技術についてはトヨタセーフティセンスIIIを搭載する。あれ、スバルならアイサイトXじゃないの?と思うかもしれない。そのあたりもふたたび開発者に聞くと「新世代アイサイトの機能がカバーされ、スバルが達成したい安全レベルが達成できている」という。またこれまでスバル車には搭載されなかった運転支援機能を搭載できるメリットもあったという。

たとえば「リモート機能付アドバンスドパーク」の初採用などもそういうことなのだろう。このあたりはアライアンスのメリット、強味でそれぞれのいいところを活かすことができるのである。

新しい価値ということであれば「グリップコントロール」や「Sペダルドライブ」もそうだろう。前者はアウトドアやオフロードでの信頼性を高め、走破性能を向上させるもので、実際に用意された特設コースではどちらかも前後左右どこかのタイヤ浮いているような状態でも路面に接地しているタイヤにすぐに駆動力を伝え、走破していく。後者はBEVらしい回生ブレーキの強さを最大にし、ワンペダル操作での走行を提供するものである。 

実際に雪道を走るとBEVならではの、瞬時に四輪が制御するというメリットを大いに感じられた。雪道であっても、走る、曲がる、止まるという基本動作が身体の動きに直結したような感覚で行えるのである。

雪道やアイスバーンを走るときにドライバーが恐怖を感じるのは、ハンドルを切っても思った方向に曲がらない、ブレーキペダルを踏んでも止まらない、ということだが、今回の試乗でそうしたことはなかった。発進時に少々荒くアクセルペダルを踏み込んでもスルスルを走り出すのである。これは安全・安心感がとても高く、降雪地域であれば、この4WDモデルを選ぶ価値は多いにあると感じられた。

今回は雪上のみの試乗だったがソルテラの実力の片鱗を感じることができた。はやく公道を走ってみたいと思わせるクルマだった。(写真:井上雅行・スバル)

画像: 「グリップコントロール」はどこかタイヤが浮いていても、地面に設置しているタイヤに駆動力を与え、走破していく。

「グリップコントロール」はどこかタイヤが浮いていても、地面に設置しているタイヤに駆動力を与え、走破していく。

スバル ソルテラ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4690×1860×1650mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1930kg~<2020kg~>
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:前150kW<前80kW/後80kW>
●システム最高出力:前150kW<160kW>
●バッテリー総電力量:71.4kWh
●WLTCモード一充電走行距離距離:530km前後<460km前後>
●駆動方式:FWD<4WD>
●タイヤサイズ:235/60R18<235/60R18もしくは235/50R20>

This article is a sponsored article by
''.