待ちに待ったフォルクスワーゲン ID.Buzzの市販モデルが、ついに正式発表された。ユニークなプロポーションにどこかクラシカルな「名車」たちとの共通性を漂わせる独特な個性は、電気自動車に対するイメージを大きく変革することになるかもしれない。
未来のワーゲンバスにときめき続けて10余年
思えば「ワーゲンバス後継車」を、僕たちはずいぶん長い間熱望していた。その存在をほのめかせてくれたのが、2011年のジュネーブモーターショーで発表された「Bulli<ブリー>」だったと思う。
最大40kWhのリチウムイオン電池を搭載、フロントに電気モーターを備えた電気自動車だった。1充電で300kmの走行距離は、当時の日産リーフなどと比べても、なかなか優秀な数字だったと記憶している。
そのキュートなたたずまいと先進性は注目された。結果もちろん市販化が期待されたのだったが、結局それから5年以上が過ぎていく。そして2017年1月、本当の意味で「未来のワーゲンバス」が登場して、待ちかねたファンの期待値は一気にマックス状態となった。
その時のコンセプトモデル名が「I.D.BUZZ」。世界初の多目的EVバンは、元祖ワーゲンバスことフォルクスワーゲン タイプ2を彷彿とさせるシルエットとV字のモチーフを配したフロントマスクがなんとも愛らしく、そのたたずまいだけで世界中の老若男女をときめかせてくれた。
それでも実際に市販されるまでには、さらに5年がかかった。とはいえ基本的なスタイリングやメカニズムはそのままに市販モデルとして登場してくれたのだから、これは待った甲斐があったというものだ。
日本語表記では変わらず「アイディー・バズ」だけれど、英語では微妙に表記が違う「ID.Buzz」となっている。ラインナップとしては乗用MPV仕様と、「Cargo」と名付けられた商用モデルが発表されている。