「i」ブランドの理念を現実のものとした最初のモデルは、2011年のフランクフルトモーターショーでコンセプトモデルとしてデビューし、2013年に生産が開始された「i3」だった。そして、単にBEVということではなく、カーボンニュートラルを目指した「iコンセプト」のパイオニアとして登場した「i3」は、「i」ブランドの発展を確認してまもなくその役割を終えようとしている。そこでここでは最新仕様の「i3」をとおして、「i」ブランドの意義を改めて見つめてみる。(Motor Magazine2022年4月号より)

市街地走行をメインとしたBEVコンセプト

「i」が目指しているのは、単にBEVを量産することではなく、ライフサイクルアセスメントの中でのカーボンニュートラルを達成することだ。BMWは、2013年秋にi3を製造開始する前の段階でMINIや1シリーズクーペをベースとしたコンバートEVを数百台レベルで作り、世界中で走らせてユーザーの意見を聞き、BEVのクルマ創りを研究した。その結果、BEVでは軽量化が大事だということがわかった。

航続距離を伸ばすためには大容量のバッテリーが必要だ。バッテリーを大量に積めばコストアップになり、重くなって航続距離でもハンドリング性能でも苦しくなる。そこでi3では、アルミ合金によるフレームにCFRP(炭素繊維強化樹脂)のボディを組み合わせ、アウターパネルはPP(ポリプロピレン)という徹底した軽量化を図った。

それら素材の製造場面でも、水力発電ダムのそばなど再生可能エネルギーを使える場所を選び、ダッシュボードの素材などもペットボトル廃材をリサイクルしたものというように、徹底的にエコロジーを追求。最終組み立てはドイツのライプツィヒ工場だが、工場の敷地内に風力発電の設備を3基建設し、天候面でのプラスマイナスを含めて工場で必要な電力はすべて賄える計算とした。

i3は装着タイヤもスペシャルだ。ブリヂストンの幅狭/大径/高圧という「オロジック」のコンセプトが導入されたエコピアを採用。徹底的に転がり抵抗を小さくするためで、前後輪とも155/70Rサイズ(レンジエクステンダー装備車は後輪が175/60R19)になる。タイヤの幅が狭いからホイールハウスを大きく使え、前輪の転舵角も大きいので最小回転半径は4.6m。小回りが効き、取り回し性は素晴らしく良い。

この頃からBEVは長距離走行よりも、市街地メインでの走行が合っていると想定したのだろう。

画像: すべてにこだわり、理想を実現したBEVのi3だが、世界のマーケットはそこまでのものを望んでいなかった。

すべてにこだわり、理想を実現したBEVのi3だが、世界のマーケットはそこまでのものを望んでいなかった。

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