世界で250万台のセールスを記録した初代カングーが、2009年9月にフルモデルチェンジ。2代目となって日本に上陸した。並外れた積載性と飾らない実用性で人気を呼んでいたカングーだが、2代目ではどう変わったのか。ここでは国内での試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年11月号より)

直進の安定性は高く、路面凹凸のいなしも上手い

着座位置がかなり高めになったフロントシートに座り、キーを回してスタート。このシートの出来がまた秀逸だ。タッチは柔らかいのにコシがあり、座り心地とサポート性を両立する。

搭載エンジンの出力が10ps向上しているとは言え最大トルク値は変わらず、車両重量は先代比で260kgも増加しているため、その加速は終始おっとりとしている。搭載される4速ATの制御も、エコな時代を象徴するかのごとく、すぐに上の段にシフトしていくので、もどかしいほどではないが力強さもまったくない。

画像: 2代目となって日本に上陸したルノー カングー。ボディが大きくなっても走りのテイストは初代と変わらない。

2代目となって日本に上陸したルノー カングー。ボディが大きくなっても走りのテイストは初代と変わらない。

では新型カングーの走りがつまらなくなったのかと言えば、そうではない所がまた面白い。直進の安定性は抜群に高く、また路面凹凸のいなしも上手で、嫌な余韻を残さない。サイズが拡大されプラットフォームも進化したが、ここは初代のテイストと同じように感じた。

遮音性も向上したため、一度巡航速度に達してしまえば高速走行は快適の一言だ。先代では空荷の際に若干のリア突き上げ感を伴ったが、新型は1人で運転するときも乗り心地に変化は少ない。

ワインディング路でも1830mmという背の高さを感じさせることなく、安定したコーナリングを実現している。絶対速度自体はもちろん決して速くはないが、グラッとすることなく、しっとりとしたロール感とともにリズミカルなドライビングを楽しむことさえできる。

サイズ拡大による快適性・積載性の向上、室内質感の大幅アップ。オートエアコン、クルーズコントロールなど快適装備も標準採用する。これだけ進化した新型カングーだが、価格は先代比でわずか6万8000円高の229万8000円(4速AT)。ルノージャポンの心意気がひしひしと伝わってくる価格設定と言えよう。

正直、あまりのボディサイズ拡大に、最初は「カングーらしさがスポイルされてしまったのでは・・・」と不安を覚えたが、外観デザインだけでなく走りのテイストも、きちんと初代の良さを継承している。その点、安心していい。(文:Motor Magazine編集部/写真:小平 寛)

ルノー カングー 1.6 主要諸元

●全長×全幅×全高:4215×1830×1830mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1460kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1598cc
●最高出力:78kW(105ps)/5750rpm
●最大トルク:148Nm/3750rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:229万8000円(2009年当時)

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