当Webモーターマガジンで「ドライブグルメ」や試乗レポートの筆者でもある鈴木ケンイチ氏が、個人的にマツダ ロードスター990Sを購入した。そこで、納車から3カ月ほど乗って感じた印象を報告してもらった。

ワインディングロード走行は最高に楽しい!

では、高速での長距離移動やワインディングロードはどうか。まず、高速道路のロングドライブは悪くはないけれど、それほど楽しくはなかった。なぜなら、最高出力132psの1.5L 直4DOHCはけっしてパワフルではないから。それでも、高速道路の合流などでの全開加速は、それなりの気持ち良さを与えてくれる。高速道路を淡々と走れば、WLTC高速道路モードの19.5km/Lは簡単にマークできる。これはなかなか優秀だろう。

ただし、遮音&防音材を省いたロードスター990Sの車内騒音は、やはり大きい。また、ドライバーに愚直なまでに従うハンドリングのおかげで、意思をハッキリと保たないとクルマは真っ直ぐに走らない。ぼんやりしていると走行車線内を左右にフラフラとしてしまう。ロードスターはワインディングロード向けのクルマであり、グランドツアラーではないことを再確認するばかりであった。

画像: 990Sは軽量化がもたらす軽快な走りを楽しむためのモデルであって、ハードなスポーツ走行には向いていない。

990Sは軽量化がもたらす軽快な走りを楽しむためのモデルであって、ハードなスポーツ走行には向いていない。

それゆえ、ワインディングロードはもう最高!のひと言に尽きる。それも制限速度内でも十分に楽しめる。加速力も十分にあるし、ブレンボをおごったブレーキは、踏んだ直後から制動力が強く発生するため扱いやすい。

また、2021年12月の商品改良から追加された新機能のKPC(キネマティック ポスチャー コントロール)は、違和感なくロールをしっかりと抑えてくれる。横滑り防止装置(DSC)をオフにするとKPCも同時にオフになるため、オン/オフを切り替えて違いを確かめられる。ボタンひとつで、スタビライザーを追加したような変化が味わえるのだ。

この機能のおかげで、ワインディングロードを走るときの安心感が高まるのだ。ロードスター990SはLSDが装備されていないため、LSD付きの他グレードと比べればコーナー脱出の加速力は劣る。しかし、コンペティションではないから、そんなことは気にならない。つまり、LSDとリアスタビライザーが装備されていないロードスター990Sでも、不満はまったく感じられなかったのだ。

もちろん、「サーキット走行を楽しみたい」「もっと速く走らせたい」「高品位オーディオなどが欲しい」というのであれば、990Sではなく他のグレードがオススメだ。街中走行が中心で、たまにワインディングロードを走らせるという筆者のような使い方をするのであれば、ロードスター990Sは非常に満足度が高いモデルであることは間違いないだろう。(文:鈴木ケンイチ/写真:鈴木ケンイチ、Webモーターマガジン編集部)

画像: 遠出をしなくても満足感が得られる990Sだが、たまには遠出もしてみたくなる。

遠出をしなくても満足感が得られる990Sだが、たまには遠出もしてみたくなる。

■マツダ ロードスター 990S 主要諸元

●全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm
●ホイールベース:2310mm
●車両重量:990kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1496cc
●最高出力:97kW(132ps)/7000rpm
●最大トルク:152Nm(15.5kgm)/4500rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・40L
●WLTCモード燃費:16.8km/L
●タイヤサイズ:195/50R16
●車両価格(税込):289万3000円

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