当Webモーターマガジンで「ドライブグルメ」や試乗レポートの筆者でもある鈴木ケンイチ氏が、個人的にマツダ ロードスター990Sを購入した。そこで、納車から3カ月ほど乗って感じた印象を報告してもらった。

発表からわずか2カ月で手に入れられた理由とは・・・

画像: 鈴木ケンイチ氏のロードスター990S。ボディカラーは、スノーフレイクホワイトパールマイカをセレクト。

鈴木ケンイチ氏のロードスター990S。ボディカラーは、スノーフレイクホワイトパールマイカをセレクト。

筆者のロードスター990Sが納車されたのは2022年2月。2021年12月の商品改良で追加された990Sを、わずか2カ月で手に入れられたのには理由がある。それは2021年10月に開催されたファンイベント「ロードスター軽井沢ミーティング」において990Sがお披露目された、その数週間後には注文していたからだ。

試乗もなにもせずに決めたのは、それだけマツダの開発陣を信頼していたという部分が大きい。筆者は過去25年以上にわたってロードスターを乗り継ぎながら、モータ―ジャーナリストとしてマツダのロードスター開発者たちの取材を続けてきた。その開発者が「ロードスターの原点に立ち返って、軽いことによる楽しさを追求した」と作り上げたのが990Sというグレードだ。

これは間違いない! と判断して、試乗もせずに注文したというわけだ。また、ブレンボ社製のブレーキとレイズ社製の16インチ鍛造アルミホイールを装備しながらも、車両価格のアップを約27万円に抑えたというコスパの良さも、決意を強くしてくれた。

ちなみに、990Sは軽さを追求するために、快適装備の少ない「S」グレードをベースにする。そのため、マツダコネクトやBOSEサウンドシステム、リアスタビライザー、LSDは装備できない。また、室内騒音を抑える遮音材も省かれており、意外やスパルタンな仕様なのだ。

遠出しなくても満足感が得られるクルマ

画像: 写真では分かりにくいが、エアコンルーバーの加飾は内側がブルー、外側がピアノブラックに塗装されるのは990Sのみ。

写真では分かりにくいが、エアコンルーバーの加飾は内側がブルー、外側がピアノブラックに塗装されるのは990Sのみ。

さて、筆者のロードスター990Sの使い方はといえば、買い物などの街乗り、取材での移動のための足がほとんど。ワインディングロードを走らせたのは、納車後3カ月で2~3回ほどでしかない。しかし、それでも「良いクルマを買ったな」という満足度は高い。

なぜなら、街中をゆっくりと流れに乗っているだけでも、ロードスター990Sは気分が良く楽しいから。なにが良いかといえば、まずドライビングポジションが良い。左右の足を真っ直ぐ延ばしたところに、ちゃんとペダルがある。

シートも満足できる。柔らかく、それでいて腰をしっかりとホールドする。長時間運転していても、腰が痛くなったりしない。実のところ、かつて長く乗っていたNA型やNB型のロードスターは、そうではなかった。ペダル位置が悪く、微妙に体を捩じることを強いられたし、純正シートの出来もほめられるものではなかった。

また、視界の良さも最新のND型ロードスターの美点のひとつだ。Aピラーの位置がドライバー側に近づいていて、コーナーを見やすい。フロントフェンダーの盛り上がりでタイヤの位置を把握しやすいことも運転のしやすさにつながっている。

ポジションがラクで運転しやすく、乗り心地もすこぶる良好

画像: ソフトトップのカラーはダークブルーとなる。ふだんはクローズドで乗る機会が多いから、分かるひとは990Sと気づくはず。

ソフトトップのカラーはダークブルーとなる。ふだんはクローズドで乗る機会が多いから、分かるひとは990Sと気づくはず。

さらに、エンジンが低回転から非常にトルクフルで粘り強いことにも驚いた。1000rpmをわずかに超えたところでシフトアップしていっても問題なく走る。NAやNBの1.6L エンジンでは、とてもマネができない。可変バルブタイミング機構を備える最新エンジンならではの扱いやすさだ。しかも、6速MTのフィーリングも最高だ。狙ったギヤに吸い込まれるよう、スパッと変速できる。これも気持ち良い。

もっとも、このあたりは他のロードスターとも共通の美点ではあるが、さらにロードスター990Sでは、ホイールやブレーキといったバネ下を軽量化するのにあわせてダンパーのセッティングが変更されている。軽いバネ下がスムーズに動いて、結果的にフラットな姿勢を保つようになった。過去の愛車であれば、バンプラバーに底突きしそうな大きなギャップも、何事もなかったように軽々といなす。端的に言えば、乗り心地が良いのだ。

つまり、ポジションがラクで運転しやすく、乗り心地も良い。エンジンは低回転から粘り強く扱いやすく、しかも変速フィーリングが素晴らしく気持ち良い。もちろんハンドリングは素直で、クルマを思いのままに操れる。ゆっくり走っていても「これぞスポーツカー!」という楽しさが味わえる。ロードスター990Sは、遠出しなくても満足感が得られるクルマだったのだ。

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