日本にジャストフィットするEVが、再び誕生
かつて、日本のモータリゼーションの革新に挑んだ、電気で走る軽自動車がいた。
それは三菱「i-MiEV」。三菱の個性派軽乗用車をベースとして、2009年に誕生した。世界初の量産乗用EVでもあったi-MiEVは、日本の道路事情にジャストフィットするサイズと優れたパッケージング、当時の電気自動車としては非常にスムーズかつ元気なパワートレーンなど、クルマとしての完成度はかなり高いレベルにあった。
一方で、充電インフラなど電気自動車を普通に乗る環境整備は、なかなか進まない時代だ。エアコンをつけると満充電で100kmがせいぜいという限られた走行距離も、実用面ではネックとなったのだろう。
その上、車両価格がどうしても庶民感覚からかけ離れている。一時は補助金込みでおよそ170万円ほどまで値下げされたものの、折しもリーマンショックや東日本大震災といった外部的ネガティブ要因が発生。残念ながらi-MiEVは、日本の電気自動車の普及を一気に促進させるほどのセールスには至らず、2020年に生産を終了した。
そんな不遇の歴史を持つ「電気で走る軽自動車」が今、満を持して復活を果たす。三菱と日産が共同で運営する株式会社NMKVによって生み出された新型車は、三菱から「eKクロス EV」、日産からは「サクラ」というネーミングで夏頃から販売開始される。
日産のエントリーEVであり最上級軽自動車として、リベンジマッチに挑む
思えば電気自動車を使用する環境は、家庭用充電設備や経路充電施設の充実など、i-MiEVが生まれた10余年前とは比べ物にならないほど充実してきた。つまりは時代がやっとEVに乗るライフスタイルに「追いついてきた」というところか。そんな中で生まれたサクラとeKクロス EVは、日産がリーフで培ってきた知見と、三菱がi-MiEVで提案した世界観との融合から生まれた、とも言えるだろう。
とりわけ、サクラに与えられたミッションは重要だ。リーフ、アリアといった日産のEVフォーメーションにおける重要な「入口」であると同時に、軽自動車のラインナップにおいてはデイズ、ルークスを凌いで君臨する頂点に立つ。いわば対照的な両局面での、ゲームチェンジャー的役割が期待されていると考えるべきだろう。
果たしてサクラは、日本の電気自動車市場を「満開」にしてくれるポテンシャルを、本当に秘めているのだろうか。シーンの限られたテストコースではあったが、ある意味、i-MiEVのリベンジマッチ的な側面も含めて、今回の初試乗はとても興味深いものになった。