「EV&SDGsフェア」に出展するプジョー e-2008を自走で運ぶべし。というわけで、往復1000kmのロングドライブにチャレンジ。長旅が苦手と言われるEV(電気自動車)だけれど、今どきの充電事情は果たしてどうなっているのか。高速道路で「90kW急速充電」の実力をチェックしながら「東京→大阪ちょっと京都に寄り道旅」を楽しんでみた。

30分+αの充電で約230km回復! 一方で90kW級には不思議な使いにくさも

復路、立ち寄った90kW級は東名高速道路の海老名SA(上り)にある。2020年に増設されたユニットで、ほかに従来の40kWユニットが2基、縦列に並んだレイアウトだが(Google Mapではなぜか90kWと40kWが1基ずつしかないと表記されていた)、とくにそれぞれの充電ポテンシャルについての表記はなかった。

画像: 海老名SA(上り)には40kW級(写真手前)と90kW級が混在していた。とくに「こちらが速い方です」などとは明記されていなかったが、90kW級は見るからに最新型のオーラを放っている。「Shin Dengen」というメーカー名が目印だ。

海老名SA(上り)には40kW級(写真手前)と90kW級が混在していた。とくに「こちらが速い方です」などとは明記されていなかったが、90kW級は見るからに最新型のオーラを放っている。「Shin Dengen」というメーカー名が目印だ。

EV初心者はとりあえず空いていれば前スペースから詰めていくのが普通だろうから、結果的に40kW級を使うことになってしまいそうだ。もちろん慣れていれば「Shin Dengen」の前に迷わずクルマをつけるべきだろう。

こちらはユニット1基に充電ケーブルは1本。ということで、90kW級(モニター上には「利用可能電力 75kW」と表示)を独り占めさせてもらう。実際に充電を始めてから10分ほど経った時、充電器本体のモニターを見て驚いた。なんと416V×151A=およそ63kWの充電出力が出ている計算になっているのだ。

画像: 充電を始めてから10分経過時の表示。従来の40kW級で30分継ぎ足しした時よりも多い9.7kWhに達している。

充電を始めてから10分経過時の表示。従来の40kW級で30分継ぎ足しした時よりも多い9.7kWhに達している。

実はこの数値、普通に考えるとありえない。なぜかと言えば、日本仕様のe-2008はCHAdeMO対応に切り替えるにあたって(本国ではCCSで100kWまで対応していた)、50kWまでしか受け付けない仕様になっているハズなのだから。正直、目を疑った。

その後、終了4分前の状態をチェックすると440V×113A=50kWという「常識的」な出力に落ち着いてはいたが、最終的に30分間+6分間(後述するトラブルのため)の充電で26.5kWhを充電。航続距離(バッテリー残量)は44km(29%)だったものが278km(84%)に復活していた。従来の40〜50kW級なら、3〜4回×30分おかわりするくらいの劇的回復ぶりを見せたのだ。

バッテリー、充電器などそれぞれのコンディション次第で変動

ありえない充電の速さを体験できた理由は、結局さだかではない。ただ後日、その話をしたステランティスジャパンの関係者によれば、50kWという上限もコンディション次第で大きく振れる可能性があるのだという。高出力充電に対応した車種が増えていく中、より高出力な急速充電器にはかなり期待しても良いのではないかと思う。

もちろん実際に90kW級を利用してみて、いくつか気になったところもある。

高出力を安定して安全に発揮するためには仕方がないことだと思うのだが、90kWユニットの電源ケーブルが異様に太くて重いことには閉口させられた。コネクターも重いので、女性ひとりで操作するのはちょっとキツいかもしれない。

画像: 冷却効率を高めるためだろうか、90kW級のケーブルはやたらと太く、それと相まってコネクターの重量感が半端ではない。取り回しにひと苦労。

冷却効率を高めるためだろうか、90kW級のケーブルはやたらと太く、それと相まってコネクターの重量感が半端ではない。取り回しにひと苦労。

また充電終了後にコネクターが外れなくなり、再充電→中断→取り外し、という手順を試してみようと思ったら、今度は中断の仕方がわからなくて困った(30分+αの充電になってしまったのは、このため)。

さっそくコールセンターに連絡、もう一度充電カードで会員認証をもらってから「充電終了」スイッチを押せばよかったのだけれど、そんな手順は機械の周辺に表示されてはいない。従来型はSTARTとともにSTOPスイッチがついていたのになぁ・・・などと、正直思う。

往復およそ1000kmの高速道路での継ぎ足しは、往路復路ともにのべ4回ずつほど行った。だが単純に90kW級が本来のスペックを発揮することさえできれば、半分くらいの「休憩回数」で済むようになるかもしれない。

機会があれば今度は、最大100kW以上の充電出力対応を謳うモデル(たとえば日産ARIYAやメルセデス・ベンツ EQC、BMW iX3など)で改めて、「行脚」に出かけてみたい。より大容量のバッテリーで高い充電出力に対応していれば、片道500kmの大阪までなら30分×1回の充電で走り切ることができるハズだ。

画像: イベント終了後、片づけ途中のひとコマ。相棒のe-2008は決して大きすぎないこともあって乗りやすく、ADASが充実しているおかげでロングドライブがラクチンだった。136psの最高出力と260Nmの最大トルクで、EVらしい活発な走りを楽しむことができる。高速道路では基本的にECOモードをキープしながら、制限速度の範囲内(80km/h~110km/hほど)をACC任せで走ったが、ストレスを感じることはほとんどない。今回の車両は違うが、先日の改良によって航続距離が伸びている。

イベント終了後、片づけ途中のひとコマ。相棒のe-2008は決して大きすぎないこともあって乗りやすく、ADASが充実しているおかげでロングドライブがラクチンだった。136psの最高出力と260Nmの最大トルクで、EVらしい活発な走りを楽しむことができる。高速道路では基本的にECOモードをキープしながら、制限速度の範囲内(80km/h~110km/hほど)をACC任せで走ったが、ストレスを感じることはほとんどない。今回の車両は違うが、先日の改良によって航続距離が伸びている。

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