30分+αの充電で約230km回復! 一方で90kW級には不思議な使いにくさも
復路、立ち寄った90kW級は東名高速道路の海老名SA(上り)にある。2020年に増設されたユニットで、ほかに従来の40kWユニットが2基、縦列に並んだレイアウトだが(Google Mapではなぜか90kWと40kWが1基ずつしかないと表記されていた)、とくにそれぞれの充電ポテンシャルについての表記はなかった。
EV初心者はとりあえず空いていれば前スペースから詰めていくのが普通だろうから、結果的に40kW級を使うことになってしまいそうだ。もちろん慣れていれば「Shin Dengen」の前に迷わずクルマをつけるべきだろう。
こちらはユニット1基に充電ケーブルは1本。ということで、90kW級(モニター上には「利用可能電力 75kW」と表示)を独り占めさせてもらう。実際に充電を始めてから10分ほど経った時、充電器本体のモニターを見て驚いた。なんと416V×151A=およそ63kWの充電出力が出ている計算になっているのだ。
実はこの数値、普通に考えるとありえない。なぜかと言えば、日本仕様のe-2008はCHAdeMO対応に切り替えるにあたって(本国ではCCSで100kWまで対応していた)、50kWまでしか受け付けない仕様になっているハズなのだから。正直、目を疑った。
その後、終了4分前の状態をチェックすると440V×113A=50kWという「常識的」な出力に落ち着いてはいたが、最終的に30分間+6分間(後述するトラブルのため)の充電で26.5kWhを充電。航続距離(バッテリー残量)は44km(29%)だったものが278km(84%)に復活していた。従来の40〜50kW級なら、3〜4回×30分おかわりするくらいの劇的回復ぶりを見せたのだ。
バッテリー、充電器などそれぞれのコンディション次第で変動
ありえない充電の速さを体験できた理由は、結局さだかではない。ただ後日、その話をしたステランティスジャパンの関係者によれば、50kWという上限もコンディション次第で大きく振れる可能性があるのだという。高出力充電に対応した車種が増えていく中、より高出力な急速充電器にはかなり期待しても良いのではないかと思う。
もちろん実際に90kW級を利用してみて、いくつか気になったところもある。
高出力を安定して安全に発揮するためには仕方がないことだと思うのだが、90kWユニットの電源ケーブルが異様に太くて重いことには閉口させられた。コネクターも重いので、女性ひとりで操作するのはちょっとキツいかもしれない。
また充電終了後にコネクターが外れなくなり、再充電→中断→取り外し、という手順を試してみようと思ったら、今度は中断の仕方がわからなくて困った(30分+αの充電になってしまったのは、このため)。
さっそくコールセンターに連絡、もう一度充電カードで会員認証をもらってから「充電終了」スイッチを押せばよかったのだけれど、そんな手順は機械の周辺に表示されてはいない。従来型はSTARTとともにSTOPスイッチがついていたのになぁ・・・などと、正直思う。
往復およそ1000kmの高速道路での継ぎ足しは、往路復路ともにのべ4回ずつほど行った。だが単純に90kW級が本来のスペックを発揮することさえできれば、半分くらいの「休憩回数」で済むようになるかもしれない。
機会があれば今度は、最大100kW以上の充電出力対応を謳うモデル(たとえば日産ARIYAやメルセデス・ベンツ EQC、BMW iX3など)で改めて、「行脚」に出かけてみたい。より大容量のバッテリーで高い充電出力に対応していれば、片道500kmの大阪までなら30分×1回の充電で走り切ることができるハズだ。