「EV&SDGsフェア」に出展するプジョー e-2008を自走で運ぶべし。というわけで、往復1000kmのロングドライブにチャレンジ。長旅が苦手と言われるEV(電気自動車)だけれど、今どきの充電事情は果たしてどうなっているのか。高速道路で「90kW急速充電」の実力をチェックしながら「東京→大阪ちょっと京都に寄り道旅」を楽しんでみた。

サービスエリアのたびに停まって充電休憩、もありうる

ロングドライブである意味もっとも重要なポイントとなるのが「移動の途中に、どれだけ効率よく継ぎ足し充電を行うか」ということだろう。しかしこれまでに普及してきた日本の電気自動車用充電インフラは、欧州のものに比べてDC充電器(急速充電器)の非力さが課題だった。

画像: 自走で陸送したプジョー e-2008の充電関連の基本スペックは、バッテリー容量が50kWhで、WLTCモードでの航続可能距離は360km。日本仕様の充電出力は50kWまでに対応している。

自走で陸送したプジョー e-2008の充電関連の基本スペックは、バッテリー容量が50kWhで、WLTCモードでの航続可能距離は360km。日本仕様の充電出力は50kWまでに対応している。

従来の一般的な急速充電器は、20~50kW級(CHAdeMOの世代で言えばチャデモプロトコルVer.1.0)の額面出力。実際はもっと少ない。30分間のタイムリミットで充電できる分量はあまりにもささやかで、結果的にひんぱんに停まって充電を繰り返す必要があった。安全第一で急速充電設備のあるサービスエリアごとに各駅停車なんてことも、けっして笑い話ではない。

だが急速充電器に関する条例が改正されて、だいぶ状況は変わったようだ。急速充電器の上限出力はこれまでの50kWから、200kWまで拡大することが可能(チャデモ プロトコルVer. 1.2)になった。今回の「大阪のイベント会場まで電気自動車を運ぶべし。もちろん往復」というミッションは、そんな新しいインフラの実力をじっくり試す絶好のチャンスだ。

2台同時充電が可能な施設は、充電出力を折半していた

今回の旅程で90kW級の充電スポットがあるSA/PAに立ち寄ったのは往路、復路それぞれ1回ずつ。往路の長篠設楽原PA(下り)では、本体はひとつだが充電ケーブルは2台分を備える「最新ユニット」で、ほぼ同時に2台のEVを充電することができた。

画像: 長篠設楽PA(下り)に設置されていたのは、新電元工業製の「SDQC2F90シリーズ」。写真右の車両が、往路で一瞬だけ同行したDS3クロスバック Eテンスで、女性を含む3人乗車で自走移動していた仲良し号。左が私ひとりで運転したボッチ号。

長篠設楽PA(下り)に設置されていたのは、新電元工業製の「SDQC2F90シリーズ」。写真右の車両が、往路で一瞬だけ同行したDS3クロスバック Eテンスで、女性を含む3人乗車で自走移動していた仲良し号。左が私ひとりで運転したボッチ号。

ところが、なぜかe-2008に接続しても本来の「90kWらしさ」がまったく感じられない。出力電圧は409~427V×出力電流50~51Aで終始し、単純計算では充電出力が21~22kWほどに過ぎない。これは、その前に浜松SA(下り)で入れた50kW級の実充電出力(390V×80A=31kW)にも及ばないレベル。正直、がっかりである。

しかし、そこには大いなる勘違いがあった。なんということはない。1台だけで入れれば最大90kWの出力を独り占めできるけれど、2台が同時に入れるとシェアされる。最大出力半分の45kW相当をベースに、両車のコンディションをモニタリングしながら最適な効率で充電出力をコントロールするのだという。

画像: こちらは充電が終了した直後のモニターの様子。同じ30分でも右のDS3は13.3kWh入っているのに、左のe-2008はほぼ10.2kWhまでと、ずいぶん少ない。

こちらは充電が終了した直後のモニターの様子。同じ30分でも右のDS3は13.3kWh入っているのに、左のe-2008はほぼ10.2kWhまでと、ずいぶん少ない。

ちなみに、わずかに先行して充電を始めたDS3クロスバック Eテンスの方はと言えば、当初は432V×85Aで約38kWだったものの、バッテリー容量の85%を超えたあたりから440V×32A=14kW程度までダウンしていた。

この後も50kW級で継ぎ足しを3回ほど行ったが、おおむね1充電30分での復活は50~60kmほど、といった印象だ。想定していたほどスムーズには距離を稼げそうにない。だがしかし、復路ではそんな90kWに対するガッカリ感を覆す結果が出たのである。

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