ロングランが得意な「250」ながら、力強さにも妥協はない
EQB250をドライブすると、BEVらしく静かでなめらかで力強い走りはもちろんとして、関連性の高い先発のEQAに対しても印象は少なからず違って、新しいモーターの恩恵か全体的にスムーズになっていることを感じる。加減速の制御が緻密になり、繊細な操作にも応えてくれることが、ごく普通に流していても感じられる。車内の静けさも高まっているように感じられた。
むろん足の長さが魅力のEQB250ではあるが、踏み込めばトルクステアを感じるほど力強いあたりも、さすがは最新のBEVである。
走行特性はダイナミックセレクトで「ECO」、「Comfort」、「Sport」の3段階と効率、快適性、ダイナミズムを個別に設定できる「Individual」の4通りを選択できる。回生レベルも4通りにパドルで選択できて、中でもレーダーが検知した先行車両との車間距離や走行状況に応じて回生レベルを自動調整するという「D Auto」がなかなか便利。これに設定しておけばどこでも違和感なく走れて非常に重宝する。
一方のEQB350は、0-100km/h加速タイムの公表値が3秒も速いだけあって、力強さがだいぶ違う。加速の仕方も後ろから押し出しながらフロントでひっぱるので感覚がぜんぜん違って、トルクステアもだいぶ軽減されている。
AMGラインパッケージの装着車と非装着車では、タイヤ/ホイールが20インチと18インチ、スポーツサスペンションとコンフォートサスペンションという違いもある。
文字にすると装着車のほうが乗り心地は硬そうに感じるところだが、スポーツサスペンションにはアジャスタブルダンピングシステムが備わり、路面の状況に応じて減衰力を最適に調整するほか、モードの切り替えによりソフトめに設定することもできて、フラット感もあり全体としては装着車のほうが好印象だった。
EQBは、もともと人気の高いGLBをベースとしており、そのBEV版というだけで興味を持っている人は少なくないはず。加えて後発である分、より新しいテクノロジーが与えられ、機能も充実していて、完成度も非常に高かったことをお伝えしておきたい。(文:岡本幸一郎/写真:伊藤嘉啓)
■メルセデス・ベンツ EQB 250【EQB 350 4マティック】 主要諸元
●全長×全幅×全高:4685×1835×1705mm
●ホイールベース:2830mm
●車両重量:2100kg【2160kg】
●搭載パワートレーン:フロントモーター【2モーター<フロント+リア>】
●最高出力:140kW(190ps)/3550-11130rpm【215kW(292ps)<143kW/5800-7600rpm+72kW/4500-14100rpm>】
●最大トルク:385Nm/0-3550rpm【520Nm<370Nm/0-3600rpm+150Nm/0-4500rpm>】
●バッテリー総電力量:66.5kWh
●WLTCモード航続距離:520km【468km】
●駆動方式:FF【4WD】
●タイヤサイズ:235/55R18
●価格 788万円【870万円】