16代目クラウンの誕生を機に、各世代のカリスマ性を彩ってきた「はじめて」をあらためて紐解く特別連載企画。第5回は、1974年に誕生した第5世代「MS8#/9#/10#型」をご紹介しよう。ロイヤルサルーン、4ドアピラードハードトップという新たな個性を加えて、高級車としての理想を追求していく。(Motor Magazine Mook 「TOYOTA CROWN 13th」より)

ご当時インプレダイジェスト──75年式クラウン2600ロイヤルサルーン TTC・C

トヨタから新しい低公害車が登場した。センチュリーとクラウン2600シリーズである。

画像: セパレートシート、フロアATが一般的となる。4本スポークハンドルも当時の流行だ。トヨタ博物館所蔵の4ドアセダン(75年式)。

セパレートシート、フロアATが一般的となる。4本スポークハンドルも当時の流行だ。トヨタ博物館所蔵の4ドアセダン(75年式)。

新しい触媒方式のクラウン2600は、極めて高価であり、一般のユーザーから少々、縁遠い存在であるが、極めて近い将来にコロナやカリーナ、セリカなども、このTTC・Cに身を固めて登場することが必須とあらば、このクラウンの走りっぷりも気になるというものだ。

結果からいうと、このモデルに関してはまるで従来の未対策車と遜色なかろうと思われる。

数あるクラウン・シリーズの中でも、このロイヤルサルーンは最高位にランクされ、その装備の充実ぶり、フィニッシュの高さでは、クラス随一と自他共に認める高級車である。価格もそれだけに高く、このTTC・C仕様は244.3万円と、これまたトップクラスである。

この車に乗ると、ドライバーはたちまち怠け者になる。なにしろ、ドライバーはステアリングを動かすこと、時折ブレーキを踏むこと以外、必要な動作はいらない。動力性能についても充分であるという表現しかできない。

画像: トヨタ博物館所蔵の4ドアセダン(75年式)。デビュー時は、4M-U型SOHCエンジンを搭載。サスペンションはフロント・ダブルウイッシュボーン、リア=4リンク・コイル式を採用していた。

トヨタ博物館所蔵の4ドアセダン(75年式)。デビュー時は、4M-U型SOHCエンジンを搭載。サスペンションはフロント・ダブルウイッシュボーン、リア=4リンク・コイル式を採用していた。

テスト車の3スピード・オートマチック(フロアセレクター)は、ややセカンドへのキックダウンが敏感すぎて、スロットルを少し深く踏むと、セカンドヘシフトダウンしてしまう。だが、これは高速道路で前に立ちはだかる大型トラックを追い抜くには大いに活用できた。キックダウンでエンジン音も一瞬高まるが、シフトアップと共に、本来の静粛なキャビンに戻る。

最高スピードは、カタログデータで160km/h。だが、この数値は、この車に関してはあまり意味を持たない。むしろ100-130km/hぐらいの加速と、そのスピードレンジでの静粛性であろう。130km/h位のエリアでもエンジンを含めたメカニカル・ノイズは極めて低い。ただ、ボディの風切音が気になった。

ステアリングは、パワーアシスト付きであるが、そのフィーリングはややアメリカ車に近く、極めて軽い。しかし、高速でコーナーの連続する道を80km/hぐらいで飛ばしても不安なく、むしろクイックな感じすらする。(杉江博愛)

■トヨタ・クラウン2600ロイヤルサルーン(75年式・50年規制適合車) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4765×1690×1440mm●ホイールベース:2690mm●車両重量:1495kg●エンジン:直6SOHC●総排気量:2563cc●最高出力:135ps/5400rpm●最大トルク:20.5kgm/3600rpm●トランスミッション:3速AT●駆動方式:FR●当時の車両価格(税込):244.3万円

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