路面をしなやかに捉えるルノー車らしいフットワーク
ドッグクラッチの恩恵で、変速も素早い。ただし、そのままだとショックが大きくなってしまうところを、Ｅテックハイブリッドはもう1基の電気モーターであるHSG（ハイボルテージスタータージェネレーター）にエンジンスタート、充電の他に変速時のギアの回転速度を高めて、いま入っているギアとの回転差をなくす働きもさせることでクリアしている。
街乗りから高速道路まで走りが楽しめるアルカナ。運転支援システムも充実しているから長距離ドライブも快適。
それでも、変速時にノイズは微かに聞こえるし、不意にエンジン回転数が高まったり、その途端に停止したりと予期しない動きもないわけではない。けれど、クルマ好きならばそれも含めて楽しめるかなという程度の話。WLTCモードで22.8／Lという上々の燃費とあわせて、十分に納得の行く仕上がりと言える。
フットワークも、さすがルノー車らしい仕上がりだ。ステアリングフィールは饒舌で路面の状況をよく伝えてくるし、コーナリングでは路面をしなやかに捉える。実はアルカナ、プラットフォームには本来Bセグメント車用にルノー・日産アライアンスで開発されたCMH-Bを使う。理由のひとつは軽さで、車重は1.5トンを下回っているから、これも走りの良さに繋がっているのだろう。
しかも、これもアライアンスの成果として、アルカナにはストップ＆ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロール、日産で言うところのプロパイロットも備わっている。走りを楽しみたい時には思い切り楽しめる一方、長距離を行く際などには疲れの少ないドライブを可能にしてくれるのは、出かける機会が多くなるであろうSUVだけに尚のこと嬉しい。
スタイリッシュさと実用性を兼ね備えたSUVクーペに、走りの歓びと低燃費を両立させたハイブリッドシステムの組み合わせたルノー アルカナ。きわめて独創的なクルマである一方、多くの人に支持される、愛される理由を備えた1台である。（文：島下泰久／写真：永元秀和）
ルノー アルカナR.S.ライン Eテック ハイブリッド主要諸元
●全長×全幅×全高：4570×1820×1580mm
●ホイールベース：2720mm
●車両重量：1470kg
●エンジン：直4DOHC＋モーター
●総排気量：1597cc
●最高出力：69kW（94ps）／5600rpm
●最大トルク：148Nm／3600rpm
●メインモーター最高出力：36kW（49ps）／1677－6000rpm
●サブモーター最高出力：15kW（20ps）／2865－10000rpm
●メインモーター最大トルク：205Nm／200－1677rpm
●サブモーター最大トルク：50Nm／200－2865rpm
●トランスミッション：4速AT(原動機）／2速AT（電動機）
●駆動方式：FF
●燃料・タンク容量：プレミアム・50L
●WLTCモード燃費：22.8km／L
●タイヤサイズ：215／55R18
●車両価格（税込）：429万円
