「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ C63AMGクーペだ。

鋭い吹け上がりで痛快なサウンドを発するV8エンジン

画像: ノーマルより30psパワーアップしたパフォーマンスパッケージ用エンジン。可変インマニはチタニウムグレーに塗られている。

ノーマルより30psパワーアップしたパフォーマンスパッケージ用エンジン。可変インマニはチタニウムグレーに塗られている。

そしてAMGといえば、最大の特徴はなんといってもエンジンだろう。コンパクトなCクラスに6.2L(正確には6208cc)もの排気量を持つ自然吸気V8ユニットを搭載するのだから、その速さは格別だ! しかも前述のパフォーマンスパッケージにより、最高出力はは標準の457psから487psにアップしている(最大トルクは600Nmで同じ)。

突き抜けるような鋭い吹け上がりと痛快なエキゾーストサウンドこそ、このエンジンの真骨頂だ。ちなみに最近、AMGの他の車種では搭載エンジンの主流は5.5Lターボに移行しつつあるようだが、このC63AMGには、あえてこのV8エンジンが残された。だが、クルマの性格的にはこちらのほうが似合っていると思える。

この大排気量ユニットと組み合わされるトランスミッションには、従来のトルコン式ATではなく、トルコンのかわりに湿式多板クラッチを用いた「AMGスピードシフトMCT」が採用された。これは、瞬発力バツグンのエンジンレスポンスをロスなくダイレクトに味わうことができる。しかも通常時はトルコンATと同じように扱えるから、運転しやすいところもありがたい。

コーナーを攻めてもほとんどロールすることはなく、鋭い回頭性を示すハンドリングも気持ちいい。限界性能は相当に高そうで、ちょっとコーナーを攻めたつもりでもまったく破綻する気配すらなく、それでいて乗り心地も悪くない。

こんな理想的な足まわりがつくれるなんて、さすがはAMGだ。効きの強いLSDのおかげで、コーナーの立ち上がりでパワーをかけても逃げずにグイグイと前に進んで行く。そして、その大パワーを受け止める強力なブレーキも心強い。

最近のAMGモデルは昔の過激さが薄れたことを惜しむ声も聞かれるが、このC63AMGクーペには往年の感覚が残っていた。しかも、それが見事なまでに洗練されており、さすがはAMG、見事としか言いようのないクルマに仕上がっていたのだった。

画像: 試乗車はオプションのパフォーマンスパッケージ装着車で、外観ではカーボン製リアスポイラーやブラックホイールなどを備える。

試乗車はオプションのパフォーマンスパッケージ装着車で、外観ではカーボン製リアスポイラーやブラックホイールなどを備える。

■メルセデス・ベンツ C63AMGクーペ(パフォーマンスパッケージ) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4710×1795×1390mm
●ホイールベース:2765mm
●車両重量:1800kg
●エンジン:V8 DOHC
●総排気量:6208cc
●最高出力:358kW(487ps)/6800rpm
●最大トルク:600Nm(61.2kgm)/5000rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・66L
●JC08モード燃費:15.4km/L
●タイヤサイズ:前235/35R19、後255/30R19
●当時の車両価格(税込):1085万円(パフォーマンスパッケージは+125万円)

This article is a sponsored article by
''.