芝刈り作業を完全自動で行う画期的なホンダ ミーモの登場
──芝生は管理が大変で、コストがかかるのではありませんか。
塚野氏「日本ではまだそう思われてますし、そもそも芝生の良さに気づいていません。芝生はみなさんが考えているほど高価でも、管理が大変でもありません。芝生は水やりもありますけど、ポイントは刈ることです。芝は刈る頻度を上げれば上げるだけ強くなるし、品質が上がります。上の葉を刈ると栄養がランナー(横に広がる茎)や根に行くので芝生が分厚くソフトになるのです。雑草は葉を刈られると光合成できないので成長できなくなり自然となくなっていきます。ただ限られた人力では頻繁に刈ることはできません。そこがもっとも大変だったのです。ここで登場したのが、ホンダのロボット芝刈機「Miimo(ミーモ)」です。ミーモは自動で刈ってくれます。欧米の人たちが長年苦労してきた芝刈りという作業を、ミーモはあっと言う間に解決してしまったのです。ミーモは革命なんです。でもまだ日本ではロボット芝刈機があることを大部分の人が知らないんです。だから、芝生は管理が大変と思っているんです」
──芝生はどれくらいの頻度で刈らないといけないのですか。
岡野氏「夏場は2日に一度の頻度で刈らなければなりません。乗用芝刈機でもサッカー場一面を刈るのに3時間ほどかかります。夏場の暑い時期にこれを人がやるのはきつい。でも、ミーモは1時間芝刈りして、1時間充電して、また芝刈りしてくれますから、最大1日12時間稼働します。風が吹こうが、雨が降ろうが大丈夫です。電動で静かなので深夜でも作業できるのも便利ですね。コストも圧倒的にかからない。広い面積の芝刈りをするには、ミーモを複数台用意すればいいだけです」
──ミーモは刈った芝生をそのまま地面に落としていくということですが。
塚野氏「それもミーモのいいところです。サッカー場一面の芝を刈ったら集葉するのが大変です。ミーモは短くカットしていくので、刈った芝は芝生の中に埋もれて栄養になります」
──ミーモはまだ一般的に知られた存在ではないと思いますが、どこで知ったのですか。岡野さんはアヤックスでもプレイしていますが、オランダで見つけたのですか。
岡野氏「アヤックスには芝生のサッカー場が40面近くもあるんですが、ロボット芝刈機は知りませんでしたね。でもあれだけの広さですから、使ってたんでしょうね。そもそも、街中の公園なんかも芝生で、そこで誰でも自由にサッカーが楽しめるんです」
塚野氏「ミーモは私がネットで芝刈機を探していて、偶然見つけました。私、もともとホンダの社員だったんですが、ホンダがロボット芝刈機を作っていたとは知りませんでした。芝生文化がまだ深まっていない日本のホンダが開発したのは驚きですが、ミーモはそもそもフランスホンダが企画したもので、逆輸入車なんです。欧州の人たちもこのロボット芝刈機にはビックリで、すでに100万台市場になっているそうです。欧米の人は芝生は刈れば刈るほどいいことをよく知っていますし、欧米はとにかく芝生の面積が広いから大変なはずなんです。そこで売れているんだから、間違いないです。欧州にはいかに芝生を楽に管理するかを試行錯誤してきた歴史があるんです。そんな200年かけて作り上げた芝生育成のノウハウが、ミーモとともに日本にそっくりやって来ようとしているのです。ミーモはまさに革命です、日本を変えます」
──日本でも芝生は普及し始めているのですか。
塚野氏「残念ながらそうでもありません。芝生といっても、日本では人工芝が多かったりします。でも芝生と人工芝は全然違います。ちょっとがっかりです。日本はまだ本物の芝生の良さに気づいていないのか、気づくことができないのか。ですので、『しばふるプロジェクト』をとおして、芝生の良さや管理の簡単さを伝えていきたいのです」
──ところで生産した芝生は販売するのですか。
岡野氏「もちろん販売しますが、それが目的ではなく、生産、販売、管理をとおして、地域とのつながりを深め、サッカークラブとして芝生の良さを広めていきたいと考えています。芝生畑をお借りできるのもガイナーレ鳥取として活動しているからこそですし、芝生の養生の際にチームのメンバーが手伝うことで地域との結びつきが生まれますし、その後の管理の手助けも行っていきます。それが多くの人々の芝生への理解につながっていくと考えています」
──ホンダがこの『しばふるプロジェクト』に賛同してパートナーとして協力していますが。
岡野氏「ミーモは日本の芝生管理の在り方を大きく変える画期的な商品です。ミーモがなかったら、このプロジェクトはできなかったでしょう。ミーモによって芝生管理のハードルはぐんと下がりましたから。プロジェクトのパートナーとして参加いただき、本当に感謝しています」
──最後にガイナーレ鳥取の目標、魅力を教えていただけますか。
岡野氏「大企業がバックにいるわけでありませんが、それだけに地元に根ざした、地元に愛されるチームになりたいですね。もちろん、勝つことを目指してますが、それだけでは愛されません。サッカー以外のことでも、鳥取に愛されるチーム、みんなが集まってくれるチームになりたいですね」
──ありがとうございました。