「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、2代目のBMW 1シリーズだ。

FRならではの素直のステアフィールがいい

画像: 116i、120iとも1.6Lのターボエンジンを搭載。ECUの違いでパワースペックが異なる。いずれもアイドリングストップ機能付き。

116i、120iとも1.6Lのターボエンジンを搭載。ECUの違いでパワースペックが異なる。いずれもアイドリングストップ機能付き。

エンジンは、バルブトロニック、ダブルVANOS、直噴と、BMWが誇るテクノロジーがフルに盛り込まれた、チューニングレベルの異なる1.6Lの直4ターボが2種類。最高出力で34ps差別化されている。120iのほうが、もちろんよりパワフルなものの、116iでも必要十分。そう感じさせる要因のひとつが新採用の8速ATで、ギアの多段化によってエンジンの性能を効率良く引き出すことができている。

ハンドリングについては、このクラスで唯一のFRなればこそもたらされる素直なステアフィールが好印象。さらに今回はサーキットでの全開走行を試すこともできたのだが、驚かされたのは操縦安定性の高さだ。

しなやかによく動くサスペンションのおかげで、タイヤが常に良い状態で路面に接地している感覚があり、安定したグリップ感を得られる。そして、操舵輪と駆動輪が別々だから、アクセルワークでより積極的に姿勢をコントロールできる。

Mスポーツ サスペンションを装着すると車高が15mm低く、乗り心地はやや硬めとなる。さらに、スポーツおよびバリアブル スポーツ ステアリング装着車に用意される「スポーツプラス」という走行モードを選択すると、足まわりが引き締まり、ロールやピッチが抑えられるとともに、DSC(横滑り防止装置)の機能が一部解除されてスポーツ走行に適した走行状態となる。より積極的な走りを楽しみたい人は、迷わず装着車を選ぶべきだ。

これほど中身が充実しながら、価格はそれほど上がっていないので、事実上の値下げともいえるだろう。それにしても、1シリーズがここまで立派になるとは、まさにうれしい誤算だった。

画像: コーナーを立ち上がる116i スポーツ。新採用の8速ATとの相性も良く、120iに乗っていなければ必要十分に思える。

コーナーを立ち上がる116i スポーツ。新採用の8速ATとの相性も良く、120iに乗っていなければ必要十分に思える。

■BMW 120i スポーツ<116i スポーツ> 主要諸元

●全長×全幅×全高:4335×1765×1440mm
●ホイールベース:2690mm
●車両重量:1420kg<1400>
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1598cc
●最高出力:125kW(170ps)/4850-6450rpm<100(136)/4400-6450>
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500-4500rpm<220(22.4)/1350-4300>
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・54L
●JC08モード燃費:16.6km/L
●タイヤサイズ:225/45R17<205/55R16>
●当時の車両価格(税込):387万円<318万円>

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