ゼネラルモーターズ(GM)の電動化路線を牽引する使命を担っているキャデラック。そのBEV第一弾モデルであるラグジュアリーSUVがいよいよデビューとなった。期待以上にしなやかでアメリカ車らしい乗り味も含めて、魅力的なモデルである。(Motor Magazine 2022年10月号より)
ハンドリングは終始クリア。RWDであることはやはり大きなメリットだ
走り出すと、まずはそのしなやかな足さばきに嬉しくなった。しなやかというか柔らかく入力をいなす感覚は、誰もがいわゆるアメリカ車に期待するとおりのもの。
それでいて、ずっと上下に揺さぶられ続けるような路面でも収まりが悪くないのは、今どきのキャデラックらしい。コーナリング時には無理に姿勢変化を抑え込むことなく、4輪をきれいに接地させていく。この辺は高いボディ剛性、そして低重心の旨味が活きている。
パワー、トルク、レスポンスも十分以上と言えて、心地よい走りが楽しめた。ブレーキペダルの代わりに左側パドルで減速Gをコントロールできる機構も面白い。
RWDということで操舵感ににごりはなく、リアから押し出す感じがいい。なおFWDではない理由は、「キャデラックだから」だそうだ。
デザインを含めて相当に革新的なクルマである一方、ブランドにとって大切な部分は、しっかり文法を守る。その融合ぶりこそがリリックの魅力だ。守りに入らず多様性、柔軟性を大事にするアメリカらしいプレミアムブランド。BEVへのシフトをきっかけに、キャデラック本来の魅力、実力が改めて際立ったと言えるだろう。
リリックは日本でも販売予定で上陸は23年春を目指すという。(文:島下泰久/写真:ゼネラルモーターズ・ジャパン)
キャデラック リリックRWD主要諸元
●全長×全幅×全高:4996×1977×1623mm
●ホイールベース:3093mm
●車両重量:2545kg
●モーター:永久磁石同期電動機
●モーター最高出力:255kW(340ps)
●モーター最大トルク:440Nm
●バッテリー総電力量:102kWh
●EPAモード一充電走行距離:502km
●駆動方式:RWD
●タイヤサイズ:265/50R20